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ヘリコプター・マネー

2016年7月14日

【要約】

  • ヘリコプター・マネーとは、デフレを克服するため、政府や中央銀行が対価なしに国民に現金を支給するような政策のこと。
  • マイナス金利も含めた強力な金融緩和策によっても物価や景気が上向かない日本が、導入の可能性のある国として注目されている。
  • 供給が増えることでお金の価値の下落という副作用もある。その対応策には金や不動産などの実物資産の保有や海外投資などがある。

ヘリコプター・マネーとは

ヘリコプター・マネー(helicopter money)とは、ヘリコプターで空からお金をばら撒くように、政府と中央銀行が大量に発行したお金を何らかの形で国民に無償で支給するという政策のことです。

不景気などで物価が持続的に下落する「デフレ(デフレーション)」が起こった場合の有効な対応策として、米連邦準備制度理事会(FRB)の前議長であり「ヘリコプター・ベン」の異名をとるベン・バーナンキ氏などにより提唱されてきました。

国民が受け取ったお金を使うことによる経済活性化や、世の中に出回る量が増えることによるお金の価値の下落により、デフレから脱却することができると期待されてます。

日本で話題となる理由

日本では、デフレ脱却のために日銀が2013年4月に「量的・質的金融緩和」、今年1月に「マイナス金利」を導入し、国債等と引き換えに銀行に大量のお金を供給して金利の低下をはかってきました。銀行がそのお金を低金利で企業に融資し、それを元手に収益をあげた企業が賃上げをして個人も潤う、という景気回復プロセスを狙ったようですが、今のところ2%というインフレ目標の達成には至っていません。

このような状況を打開するため、これまで「禁じ手」とされてきたヘリコプター・マネーを日本政府や日銀が導入し、国民に直接お金を届けることでデフレ脱却を目指すのではないか、と世界から注目が集まっているようです。

導入された場合の影響

実際に導入された場合、国民が受け取った現金などを消費に回すことになれば、景気の刺激に一定の効果があるかもしれません。ただし、国民が預金などで手元にしまい込むのではなく安心して消費活動を行えるように、政府は支給の方法を工夫したり、景気の先行きに希望が持てるようなプランを同時に示すことなどが必要になるでしょう。

また、このような政策に頼り過ぎると、副作用として、際限なく発行されることにより「円」の価値が急落し、物の値段が高騰する「ハイパー・インフレ(インフレーション)」が起こることが懸念されます。海外の通貨との関係では、大きく円安が進むことになります。このような急激な変化は日本経済に悪影響を与えかねないため、ヘリコプター・マネーの実施には慎重な検討が必要となるでしょう。

このような副作用に対して、有効な対応策はあるのでしょうか。現金や円預金は円の価値の下落の影響を直接受けてしまうため、金や不動産などのインフレに強いと言われている資産(実物資産)を持つことが考えられるでしょう。その他には、海外資産を保有することも有効な選択肢となりそうです。

おわりに

国民にお金を配るというと、「石川五右衛門」が小判をばら撒く姿を連想して、国民にとって嬉しいイベントのように感じられるかもしれませんが、深刻な副作用の可能性なども考えると、手放しで喜べる話でもなさそうです。

日本で実際にヘリコプター・マネーのような政策が導入されるのか現時点ではわかりませんが、以前は非現実的と思われていた「マイナス金利」も今や現実のものとなっています。また、「量的・質的金融緩和」や「マイナス金利」が導入された際のことを思い出すと、プロである機関投資家やアナリストにとっても予想外のタイミングで発表されてきました。

ヘリコプター・マネーの導入など、重要な政策の発表が突然行われたとしても焦ることがないよう、あらかじめ備えておくことも大切ではないでしょうか。

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