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ウェルスナビが米国株だけに集中投資しない理由

ウェルスナビが米国株だけに集中投資しない理由

ウェルスナビは厳選したETF(上場投資信託)を通じ、世界の約50カ国・1万2,000銘柄に分散投資をしています。一方で、売れ筋の投資信託を見ると米国株に集中投資するものが人気になっており、「米国株だけに投資すれば良いのではないか」というご意見をお客様からいただくこともあります。今回のコラムでは、ウェルスナビが米国株だけに集中投資しない理由について、ご説明します。

常にリターンが良い資産はない

ウェルスナビが組み入れている資産クラスを対象に、2010〜2021年までの年間リターンを下の図で見てみましょう。このなかで米国株に注目してみると、リターンの良かった年が多かったことが分かります。

米国株に集中投資した方が良いリターンが得られるのではないかと考えるかもしれません。

2010〜2021年、米国株は好調なときが多かった

2010〜2021年、米国株は好調なときが多かった

※各資産クラスに対応するETF(ETF設定前はインデックス等)の年次トータルリターン。米国株:VTI/Wilshire 5000、日欧株:VEA/MSCI EAFE Index、新興国株:VWO/MSCI Emerging Markets Index、米国債券:AGG/Bloomberg Barclays US Aggregate Bond Index、金:GLD/LBMA Gold Price、不動産:IYR/Dow Jones U.S. Real Estate Index

では、2010年以前も同じ結果だったのでしょうか?下の図を見ると、状況は少し異なります。2000年からの3年間は、 ITバブル崩壊などの影響で米国株は3年連続でマイナスのリターンでした。

いつも米国株が好調だったわけではない

いつも米国株が好調だったわけではない

※各資産クラスに対応するETF(ETF設定前はインデックス等)の年次トータルリターン。米国株:VTI/Wilshire 5000、日欧株:VEA/MSCI EAFE Index、新興国株:VWO/MSCI Emerging Markets Index、米国債券:AGG/Bloomberg Barclays US Aggregate Bond Index、金:GLD/LBMA Gold Price、不動産:IYR/Dow Jones U.S. Real Estate Index

2000年以降のデータから分かるのは、毎年のようにリターンの順位が大きく入れ替わっているということです。米国株だけに限った話ではなく、1つの資産に集中投資して長期で常に良いリターンを得ることができるわけではありません。

分散でリスクを抑える

最近の高いリターンだけに着目し、今後も好調だろうと予想して1つの資産に集中投資していると、予想が外れて、大きな損失を抱えるリスクもあります。

米国株は2008年に起きたリーマン・ショックの影響を受け、2008年のリターンが37%のマイナスになりました。気づかないうちに高いリスクを取り、相場が大きく下がっていると怖くなって資産運用を止めてしまい、望んだリターンを得ず(損を抱えて)に終わることもあります。

長期の資産運用を続けていくなかで、大きな相場変動は高い確率で起きます。こうしたときのために、狙ったリターンが得られることばかり考えるのではなく、相場が下がった時も考えて運用することが大事です。

資産を分散しておくと、集中投資するよりもリスクを抑えることができます。ある資産の価格が下がっていても、別の資産の価格が上がることがあります。

例えば、下の図のように2000年からの3年間は、 ITバブル崩壊などの影響を受け、米国株は3年連続でマイナスのリターンだった一方、米国債券や物価連動債はプラスのリターンでした。2008年はリーマン・ショックの影響で米国株が大きく下がりましたが、米国債券や金のリターンはプラスでした。

債券のリターンが株式を上回ることもある

債券のリターンが株式を上回ることもある

※各資産クラスに対応するETF(ETF設定前はインデックス等)の年次トータルリターン。米国株:VTI/Wilshire 5000、日欧株:VEA/MSCI EAFE Index、新興国株:VWO/MSCI Emerging Markets Index、米国債券:AGG/Bloomberg Barclays US Aggregate Bond Index、金:GLD/LBMA Gold Price、不動産:IYR/Dow Jones U.S. Real Estate Index

ただ、相場の大きな下落を伴うショックが起きたときにそれぞれの資産が毎回同じように動くかは分からないため、ウェルスナビのように幅広く分散することが重要です。また、ショックが起きてから対応するのでは遅いので、平常時から常に分散しておくことになります。

世界のプロも「分散」を実践

分散投資は投資のプロが集まる世界最大級のファンド、ノルウェー政府年金基金も実践しています。株式と債券、不動産を組み合わせて運用しており、世界に幅広く投資しています。

世界最大級のファンドも分散投資

世界最大級のファンドも分散投資

※2021年12月末時点
※不動産には再生可能エネルギー設備への投資を含みます
※配分比率は小数第1位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%になりません。

ノルウェー政府年金基金は、相場が良いときも悪いときも、あらかじめ決めた方針に従い淡々と資産運用を続けています。リーマン・ショックなどによって、単年度ではリターンがマイナスになることもあります。それでも1998年から2021年までの年間リターンは6.6%のプラスとなっています。

ウェルスナビも同じように株式や債券、金や不動産といった幅広い資産に分散投資しています。集中投資でひとつの資産クラスに賭けるのではなく、幅広い分散投資でリスクを抑えながら、長い目で資産を育てていきましょう。

コラムに関する注意事項
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