通常の口座にある資産は、新NISA口座に移すべき？

2023.10.11

今回のコラムでは、新NISAの利用を検討しているという方からよくいただく質問にお答えします。質問はこちらです。

「通常の口座（特定口座または一般口座）にある資産は、新NISA口座に移した方がいいのでしょうか？」

それでは、順を追ってウェルスナビの考え方をお伝えします。

通常の口座からNISA口座に資産を移すにはいったん売却が必要

新NISAでは、非課税で投資できる金額（非課税枠）が年間360万円、生涯で見ると1,800万円に拡大されます。せっかくなら、通常の口座にある資産をNISA口座に移すことで、非課税メリットを活用しながら運用したいと思う方もいるかもしれません。

しかしながら、一般の口座にある資産をNISA口座にそのまま移すことは制度上、できません。もしも、通常の口座にある資産をNISA口座に移したいのであれば、いったん売却して現金化し、その資金を使ってNISA口座で「買い直す」ことになります。

その際、注意していただきたいのは、通常の口座でプラスのリターンが出ている場合、売却で得た利益の約20％に税金がかかるという点です。たとえば、100万円で購入した資産が値上がりして120万円で売却できた場合、利益である20万円の約20％（約4万円）が税金として差し引かれます。

反対に、100万円で購入した資産が値下がりして元本割れになっている場合には、資産を売却しても課税されることはありません。

非課税メリットを受けたいならNISA口座に移すべき

以上を踏まえたうえで、通常の口座で運用している資産をいったん売却し、NISA口座に移すべきかどうかを考えます。

結論からお伝えすると、非課税メリットを享受したいのであれば、NISA口座に資産を移すのがいいでしょう。

仮に、通常の口座の資産を売却する際に税金が発生したとしても、早めに売却することで、課税額を少なくできる可能性があります。通常、リターンが大きくなるほど売却時の課税額も大きくなりますが、早めにNISAでの運用に切り替えれば、以後はどれだけ資産が成長しても課税されることはありません。

一方、通常の口座で元本割れになっている場合は、資産を売却しても課税されませんが、いったん損失が確定することになります。しかしながら、NISA口座で長期的に運用することによって、それ以上に大きなリターンを狙うことができるかもしれません。

通常の口座はそのまま、新規の投資はNISAという選択肢も

通常の口座で運用を続けても、これまでと比べて不利益を被ることはありませんのでご安心ください。ですので、通常の口座で引き続き運用を希望するのであれば、資産を売却してNISA口座に移す必要はありません。

たとえば、すでに通常の口座で運用しているけれど、しばらく使う予定のないまとまった預金もお持ちだという方もいるのではないでしょうか。そのような場合、通常の口座ではそのまま運用を続け、預金の一部をNISA口座での運用に回すという選択肢もあるでしょう。

「おまかせNISA」では買い直し機能を提供中

資産運用になるべく手間をかけたくないという方にもご利用いただけるように、新NISAに全面的に対応する「おまかせNISA」では、通常の口座からNISA口座への「買い直し」機能を提供中です。

新NISAでは、1つのNISA口座に「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの非課税枠があります。まずは、通常の口座から成長投資枠への買い直し機能を提供中です。また、時期は未定ですが、つみたて投資枠へ定期定額で買い直す機能の提供も検討していきます。