「SNSでの投資詐欺」の認知件数は増加傾向にあります。被害に遭わないために、著名人のなりすまし、偽の資産運用画面を用いた巧妙な手口などについて解説。詐欺だと見分けるためのチェック項目、万が一のときにおける対処法を紹介します。
この記事でわかること
- 「SNS型投資詐欺」の被害は深刻化し、2025年の被害額は前年を大幅に更新
- 有名人を装ったり、偽の資産運用画面を利用する手口などが増加
- 被害に遭った場合はスピーディーな対応が求められる
目次
1. SNSで見かける投資話には要注意!
警察庁の統計データによると、2025(令和7)年における「SNS型投資・ロマンス詐欺」の認知件数は15,168件、被害総額は約1,834億円(前年比約44.2%増加)に達しました。

このうち、「SNS型投資詐欺」の認知件数は9,523件(前年比3,110件・48.5%増)、被害額は約1,288億円(前年比416.9億円・47.9%増)に上り、1件あたりの平均被害額は約1,358.2万円と非常に高額なのが特徴です。

参照:令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)
2. 巧妙化するSNS型投資詐欺の代表的な手口
SNS型投資詐欺の詐欺グループは、人間の心理を巧妙に利用し、バナー等の広告からSNSに誘導してダイレクトメッセージなどで関係を深め、信用を得ようとしてきます。その代表的な手口について解説します。
有名人・アナリストをかたる「なりすまし広告型」
YouTubeや各種SNS・ウェブサイト上に掲載される偽の広告を入口にしてSNSに誘導します。偽の広告では、著名な経済アナリスト、実業家の名前や写真を無断で使用して、「無料の資産運用勉強会」「おすすめの銘柄を教える」といったうたい文句で興味を引き、SNSに誘導して金銭をだましとります。
最近では、実在の人物の声や映像をAIで加工した「フェイク動画」を悪用し、本人が話しているかのように見せかけるケースも確認されています。
勝手にグループに追加される「チャット誘導型」
面識のないアカウントから突然、コミュニケーションアプリなどのグループチャットに追加される手口です。
グループチャット内では、投資家やそのアシスタント(実は詐欺グループの一員)が資産運用について解説。他の多くの参加者が「指示通りに購入したら高い配当が得られた」「損失が出ずに本当に儲かった」など、虚偽の投稿を行い、全員が儲かっていることを演出します。グループチャットの参加者は詐欺グループの一員ですが、ほかの被害者が含まれている場合もあります。
「自分だけがチャンスを逃しているのではないか」という気持ちにさせて、「言われた通りにすれば儲かる」と信じ込ませたうえで、金銭をだまし取る手法です。
偽の資産運用画面で信じ込ませる「アプリ・Webサイト型」
詐欺グループが独自に作成した偽の資産運用アプリや専用のウェブサイトをダウンロードさせます。入金すると、アプリやWebサイトの画面上では、資産運用が成功しているかのように評価額が順調に増えていく様子が表示されます。
しかし、出金しようとすると「引き出すためには、一時的な保証金が必要」「税金を先に現金で振り込む必要がある」などと言われ、追加での入金を要求されます。指示通りに入金を繰り返しても、お金が戻らないまま連絡が取れなくなります。
口座番号や暗証番号等をだまし取る「補助金申請型」
投資詐欺というより特殊詐欺の類型になりますが、「補助金申請型」と呼ばれる詐欺も発生しています。
SNS等に国の補助金を受けるためのサポートを行うという広告を掲載して、広告をクリックした人をSNS等に招待します。その後、銀行の口座番号や暗証番号、キャッシュカードや身分証明証等をだまし取る手口です。
この場合、だまし取られるのは金銭というより、銀行の口座番号等の情報やキャッシュカード等の実物になります。実は詐欺グループは、他の詐欺行為でだまし取った口座番号等を利用します。
これらの詐欺では、チャットやダイレクトメッセージでやり取りをする相手が、実在する会社に所属している社員だと名乗るケースもあります。もちろん虚偽の情報ですが、SNSのプロフィール欄やチャットでの返答内容などは実在する会社情報を基にしていることがあるため、安易に信じないよう注意することが必要です。
ウェルスナビでも、社員や関係者になりすまして、チャットやSNS、メールで金銭をだまし取ろうとする詐欺行為が確認されています。詳細な手口などは以下のページをご確認ください。
https://www.wealthnavi.com/security/alerts
3. 怪しい投資話を見抜くためのチェック項目
詐欺の手口は、時代に合わせて巧妙化しています。もし、誰かに投資関連の話を持ち掛けられて検討する場合、自分の名前等の情報を渡したり、お金を振り込んだりする前に以下のチェック項目を確認してください。
一つでも当てはまる項目があれば、詐欺の可能性を疑う必要があります。
| 確認事項 | 通常の資産運用サービス | 詐欺グループの特徴 |
|---|---|---|
| 振込先の口座名義 | サービスを提供する会社(法人)の名義 | 個人名義 ※「補助金申請型」詐欺でだまし取った口座が使われることも |
| 利回りや保証の提示 | 元本の保証はなく、相場に応じて変動する | 「元本保証」や「月利10%以上」をうたう |
| 金融庁への登録の有無 | 金融商品取引業者などの金融事業者として登録している | 無登録 ※金融庁のホームページで登録を確認できない |
振込先に「個人名義」の口座を指定される
証券会社や資産運用会社が、会社名と無関係な個人名義の銀行口座にお金を振り込ませることは絶対にありません。
そのため、振込先として指定された口座の名義が「個人名義」の場合は、その時点で詐欺だと疑ってみましょう。また、振り込みを指示するたび、別名義の口座を指定してくるのも詐欺の典型的な特徴です。
「高利回りで元本保証」や「月利10%以上」などの異常な条件
資産運用の世界においては、どんなに著名な投資家であっても、年率10%前後のリターンを安定して出し続けることは容易ではありません。「月利10%(年利に換算すると120%以上)を確実に得られる」などの提示は、現実的にはあり得ない異常な数字です。
また、出資法という法律により、銀行の預金などの特別な場合を除いて、「必ず利益が出る」「預けたお金は減らない(元本保証)」ことを約束してお金を集める行為は厳しく禁止されています。高い利回りと元本の保証を同時にアピールする言葉は、真っ先に詐欺を疑う必要がある常套句です。
金融庁の免許・許可・登録を受けているか
日本国内で投資の助言を行ったり、金融商品の取引仲介等をしたりするには、金融商品取引法に基づき、金融庁(各財務局)への登録が原則として義務付けられています。
金融庁の公式ウェブサイトでは、正当な登録を受けている金融事業者の一覧を簡単に検索し、確認することができます。また、財務局から警告書の発出を受けた「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」のリストも公表されています。
実際にお金を預けたり、取引を始めたりする前に、その業者が正式な登録をされているか、下記のサイトで必ず確認してください。名前が似ているだけの悪質な業者もあるため、会社名だけでなく登録番号まで一致しているかチェックすると安心です。
金融庁「登録等事業者検索」
4. 「詐欺」に遭ってしまった場合の状況別の対処法
「既にお金を振り込んでしまった」「口座番号を教えてしまった」など、詐欺に気付いたときは、状況に合わせた迅速な対応が求められます。
【ケース1】お金を支払っておらず、個人情報も渡していない場合
実質的な被害には遭っていません。グループチャット等に招待されているときはすぐに退会し、相手のアカウントをブロックしてください。その上で、アプリ等の運営元に通報の手続きを行います。
このとき、相手に連絡する必要はありません。詐欺グループは巧妙に誘導してくるため、これ以上やりとりを重ねてもメリットはありません。一切の連絡を絶ち、無視することが賢明です。
【ケース2】お金は支払っていないが、口座番号や個人情報を渡してしまった場合
金銭を騙し取られていなくても、口座番号や暗証番号、(免許証などの)本人確認書類等の画像などの個人情報を相手に渡してしまった場合は、重大な二次被害の恐れがあります。
詐欺グループがあなたの口座を犯罪の受け皿として悪用すれば、詐欺などの犯罪行為に加担したと疑われる可能性があります。
金融機関へ連絡する
もし、口座情報を渡してしまった場合、対象の銀行にすぐ連絡し、「詐欺グループに口座情報を教えてしまった」と伝えてください。
暗証番号の変更や必要に応じて口座の利用停止・解約の手続きを行います。キャッシュカードを渡してしまった場合は、即座に利用停止の手続きを行ってください。
【ケース3】お金を支払ってしまった場合
指定された口座にお金を振り込んでしまった場合は、以下の対応を急いで行ってください。
振り込み先の銀行(金融機関)へ連絡する
お金を振り込んでしまった銀行(金融機関)に対し、「詐欺に騙されて口座に入金してしまった」と至急連絡を入れます。
「振り込め詐欺救済法」に基づき、銀行が相手の口座を早期に凍結(取引の停止)する手続きを行います。相手の口座にお金が残っている段階で凍結できれば、被害に遭ったお金の分配を受けられる可能性があります。深夜・休日でも、銀行のコールセンター等、連絡が可能な窓口に連絡しましょう。
警察の相談専用電話(#9110)へ連絡する
最寄りの警察署、または警察の相談専用電話「#9110」に連絡します。必要に応じて、最寄りの警察署に被害届を提出します。警察署に行く際は、連絡履歴が分かる画面のスクリーンショット、お金を振り込んだ際の控え(振込明細書)など、手元にある証拠をすべて整理して持参します。
5. 正しい知識を身につけ、安全な資産運用を始めよう
SNS上で持ちかけられる「おいしい儲け話」は、そのほとんどがお金を奪うための罠であると認識することが大切です。資産運用に関する話をされたときは、お金や個人情報などを渡す前に必ず立ち止まりましょう。
資産運用を始める場合は、金融庁から登録を受けた金融機関を利用することが原則です。短期間で大きな利益が出るという話には、詐欺のリスクがひそんでいます。
資産運用の基本は「長期・積立・分散」であり、これに当てはまらない話には注意が必要です。まずは正しい知識を身につけて、慎重に一歩を踏み出していきましょう。
監修者:齊藤 怜香
大手法律事務所で勤務ののち、信託銀行・金融持株会社でコンプライアンス企画を経験 。弁護士、公認AMLスペシャリスト(CAMS)。
