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円建てとドル建て

円建てとドル建て

ウェルスナビではお客様の資産の評価額や損益を円建てとドル建ての両方で表示していますが、お客様から「円建てとドル建てのどちらを見ればいいのか」というご質問をいただきました。まず本稿では、なぜ円建てとドル建てでパフォーマンスが異なって見えるのかを確認したいと思います。

通貨が変わると見え方が変わる

ウェルスナビで投資対象としている米国で取引されているETF(上場投資信託)は、取引所においてドル建てで価格が決められているため、それを足し合わせることでポートフォリオ(資産の組み合わせ)のドル建て評価額が計算できます。さらに当日の為替レートで円換算することで円建て評価額も算出することができます。

為替レートが日々変動するため、ポートフォリオのドル建て評価額と円建て評価額の動きは一致しません。特に為替レートが大きく動いた場合には、ドル建てと円建てで損益が逆方向となることもあります。以下では、この点について詳しく見てみることにしましょう。

円建てリターン=ドル建てリターン+為替の影響

図表1:ドル建てと円建てで評価額が逆方向に動く場合の例

図表1:ドル建てと円建てで評価額が逆方向に動く場合の例

例として、為替レートが1ドル105円の時に、手元資金105万円を使って総額1万ドルのETFポートフォリオを構築した場合を考えます(図表1)。運用開始後、世界的な株価上昇が起こりポートフォリオのドル建て評価額が3%増加し1万300ドルになったとします。しかし同時に為替レートが1ドル100円にまで下落していた(約5%円高になった)とすると、円建てで見たポートフォリオの価値は103万円となります。これは運用開始時の金額である105万円と比べると2%ほど下がったように見えます。

図表2:ドル建てリターンと円建てリターンの関係(イメージ図)

図表2:ドル建てリターンと円建てリターンの関係(イメージ図)

この関係を整理すると、ドル建てリターン、円建てリターンと為替レートの間には図表2のような関係があることがわかります。

先ほどの例では、ドル建てリターンのプラス幅(+3%)よりも為替レートの変動によるマイナスの影響(-5%)の方が大きかったことで、結果として得られる円建てでリターンが-2%となり、ドル建てリターンとは正負が逆になったと理解することができます。

この例とは逆に、ドル建てリターンがマイナスにも関わらず、円安の影響で円建てリターンがプラスになることもあるでしょう。そのような場合は、円建てリターンがプラスだからと安心するのではなく、ドル建てでの運用がうまくいっていない可能性も含めて注意する必要があるかもしれません。いずれの場合においても、長期的な視点で考えることが重要です。

米国人などドルを基準とする投資家がドル建てでのリターンを見るのに対して、円を基準とする日本の投資家は円建てでのリターンがまずは気になるところでしょう。しかしウェルスナビでは日本の投資家であってもドル建てのリターンにも注目する必要があると考えています。次回はその理由についてご説明します。

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