今回紹介するのは、フリーランスのウェブライターをされている40代のFさん。独立2年目で昨年の年収は400万円程度、独身で猫と暮らしている方です。そんなFさんは、家計管理・保険・資産運用についてどのような取り組みをされているのでしょうか。「資産運用の第1歩を踏み出したきっかけ」「どうやって資産を築いたのか」「将来をどのように考えているのか」をインタビューしました。
家計管理はクレジットカードの利用履歴を活用
ーどのような方法で家計管理をされているのでしょうか?
現金をほぼ使わず、支払いをクレジットカードに一本化しているので、クレジットカードの利用履歴を見て支出の管理をしています。過去には家計管理アプリを使っていたこともあったのですが、使いづらかったので、今の方法に落ち着きました。
フリーランスで確定申告をしないといけないので、収入は確定申告アプリに入力して管理しています。
ー貯蓄についてはどのように取り組まれていますか?
先取り貯金を昔から行っています。今は貯金ではなく投資に回していて、NISAとiDeCoの積み立て分が毎月自動的に引き落とされるように設定しています。
金額は月4万円くらいで、基本的には残ったお金で生活するようにしています。
ーフリーランスは収入に波があるといわれていますが、Fさんの場合はいかがですか?
収入の波はありますね。
収入が減った時期でいうと、昨年父が倒れた際は、半月くらい仕事ができなくて、収入が半減し、収支がマイナスになってしまいました。そんな時などは、貯金から補填して生活していました。
ー収支がマイナスになった時期も先取り貯蓄を継続されていたのでしょうか?
自動引き落としなので、収支がマイナスだった期間もNISAとiDeCoの積み立ては続けていました。
多少マイナスの月があっても、貯金が100万円を切らないよう意識して、100万円を超えた部分は投資に回すという感じですね。
家計管理のコツは生活に紐づけて楽をすること
ー家計管理はいつ頃からされているのでしょうか?
就職して、2~3年経った頃からです。仕事にも慣れてきたので、今後のことを考える余裕が生まれて貯蓄のことを考え始めました。
今の方法に落ち着いたのは、フリーランスになって半年くらいが経ってからです。キャッシュレスが普及して、現金しか使えないお店にランチに行ったり、飲み会に参加したりする機会も減り、クレジットカードに一本化しやすい環境が整ったというのも大きいですね。
ー先ほど昔は家計管理アプリを使っていたと伺いましたが、今の方法に落ち着くまではずっとアプリを使っていたのでしょうか?
家計管理を始めたころは家計管理アプリを使っていましたね。ちょうどアプリが出始めた頃で、アプリがきっかけで家計管理を始めてみたというのもあります。
ただ、当時のアプリは銀行やクレジットカードと連携していなかったので、全部手打ちで入力する必要があったんです。抜け漏れが出たり、金額が合わないことが多くて、使いづらかったですね。家計管理アプリに課金するのも嫌だったので、紙で記録したり、表計算シートにまとめたり、色々な方法を試しました。
色々あって、今はクレジットカードのアプリを週1回、毎週土曜日にチェックする方法に落ち着きました。
ー昔から色々試されてきたのですね。家計管理は苦手で続けられないという人も多いですが、続けるコツなどはありますか?
生活に紐づけて、無理をせず、楽にできる方法で家計管理をするのがコツだと思います。
例えば、自動的に何に使ったか記録される方法や積み立てを設定しておくなど、手間をかけずに行える方法であれば、続けやすいでしょう。
生活に沿ったルールを決めて、それに沿って家計管理に取り組むのが一番ですね。
NISAを保険代わりに
ー現在はどのような保険に入っていますか?
私自身は、保険には何も入っていないですね。
唯一入っているのは、猫の保険くらいです。月1,500円の保険料で医療費の半分が上限50万円まで保障されるという保険です。
ー金額などを正確に把握されているのですね!ご自身の保険に入っていない理由は何かあるのでしょうか?
持病があって入れないからですね。探せば、持病があっても入れる保険はあると思うのですが、FPさんにも相談して、コスト面や保障面で持病がない人よりも悪くなるので、入らない選択肢に至りました。
独身で子どもやパートナーもいないので、死亡保障や教育費の準備などを考えなくても良いというのも理由ですね。
ー保険以外にもリスクに備える方法はありますが、何かされていますか?
貯金と投資です。iDeCoは60歳まで引き出せないですが、NISAは引き出せるので、万が一の治療費が必要になった際にはそのお金を使おうと考えています。
ー現在ご準備されている金額で、万が一の備えは十分とお考えですか?
足りていないですね。いますぐ病気になったら困るかなと思います。5年くらい投資したら、ちょうどよくなるかなと考えています。
資産運用はNISAとiDeCoメインで
ー先ほどNISAとiDeCoをされているということでしたが、それ以外に何か資産運用はされていますか?
NISAとiDeCoだけですね。iDeCoは会社員だったときの企業年金から移行したので、10年くらい、NISAはつみたてNISAの頃から、5年くらい続けています。貯金とiDeCoとNISAを合計した金融資産としては総額400万円くらいです。
ーiDeCoではどのような資産運用をしていますか?
iDeCoは月1万円、全世界株式系の投資信託の積み立てをしています。企業年金に入る際の説明会があって、その時に勧められた投資信託を選んでそのまま続けている感じです。
60歳まで引き出せないので、iDeCoで運用しているお金のことは忘れるようにして、年1回送られてくる書類だけを確認するようにしています。
ーiDeCoの運用実績はほとんど見ていないとのことでしたが、NISAに関しても同じですか?
NISAは、月3万円ずつ、米国・全世界・日本のインデックスファンドを積み立てています。
NISAは証券口座でどのくらい増えているかを時々チェックしています。
この10日くらい(※インタビュー時期は2024年8月中旬)の変動はすごかったですが、全体収支でプラスになっているので比較的落ち着いていられますね。先月時点での全体収支は30~40万円くらいのプラスになっていたかと思います。
資産運用を始めたきっかけは友人との会話
ーFさんがNISAやiDeCoを始めようと考えたきっかけは何ですか?
iDeCoは会社員の頃に、会社で企業年金の説明会があったので、その際に説明を聞いて加入しました。NISAは33歳の頃に、友人とお金の話になって、FPさんを紹介してもらって、いろいろ教えてもらったのがきっかけですね。
その友人とは、お互い独身で、同い年で、同じ会社と状況が似ていて、具体的な金額を出さなくても、お互いに大まかな収入なども分かっているので、よくお金の話をするんです。
ー投資は怖いと感じてなかなか始められない方も多いですが、Fさんの場合は資産運用を始める際に不安を感じたりすることはありましたか?
投資というと株のイメージが強く、ギャンブルとまでは言わないですが、損することもあるというリスクを強く感じていたので、最初はとても不安でした。
FPにも長期で運用すれば大丈夫と言われましたが、正直怪しいと思っていました。なので、NISAが始まって半年、1年ほどは本当にリスクが高くないのか様子を見ていました。リスクはそれほど大きくなさそうと感じ、一緒に話を聞いた友人も先に始めていたのもあって、NISAを始めました。
当時のつみたてNISAが20年と期限が決まっていたのも、安心につながりました。20年後であれば生きているし、その間に大暴落でもなければ大丈夫かなと思えたので。
あとは貯金があったのも踏み切れた理由です。貯金があるので「それくらいのリスクなら許容できる」と思えたんでしょう。私の場合、当面の生活に必要なお金が100万円くらいだと思っていて、その貯金があるから余ったお金を将来のための資産運用に回せています。
家計管理・保険・資産運用の今後について
ー家計管理や老後資金について今後どうしたいというお考えはありますか?
iDeCoを増やしたいですね。フリーランスは厚生年金がないので、老後のことを考えると厚生年金の代わりになるものを準備する必要性を感じています。
今4万円をiDeCoとNISAに入れています。月々の金額を増やすのは現状厳しいので「もっと仕事や節約を頑張った方が良いのかな」と考え中です。
猫を飼っていて、猫が生きがいなので、節約はなかなか厳しいところがあるのですが、削れる支出はないかと考えることはあります。
ーー保険について、何か考えていることはありますか?
保険には一切入っていません。自分も猫も中年を超えてきたので、万が一のときに医療費がどのくらいかかるのかという心配はありますね。がんなどの大病をしなくても、毎月通院が必要な病気になれば定期的な支出が発生してしまいますし。
去年、姉が手術したのもあって、余計にそう考えるようになりました。手術・入院となったら数十万、数百万飛んでいくなと。
高額療養費制度などもありますが、返金されるまでのタイムラグもありますし、今あるお金で足りないんじゃないかという不安はあります。
ー「削れる支出はないか」とのことでしたが、現在の生活費と、既に取り組んでいる節約にはどのようなものがありますか?
生活費は家賃込みで16~17万くらいです。フリーランスなのでそれ以外に健康保険や年金、税金の支払いがあります。
携帯を格安携帯にしたり、サブスクは趣味のサッカーのみにしているので、固定費は安く抑えられていると思っています。ただ、食費などは多少の値段差は気にせずに全部近くのスーパーで買っているので、もっと安売りのスーパーを巡って節約した方が良いのかなと考えることはあります。
ウェルスガイドからのワンポイントアドバイス
Fさんは、自分にとって取り組みやすい方法を見つけて、無理なく継続できているのが良いですね。
Fさんのお金事情をより良くするポイントは以下の3点です。
①無理なく続けられる方法で家計管理を行う
「もっと節約した方が良いのかな」という言葉もありましたが、Fさんの場合は、固定費の部分でしっかりと節約できていて、メリハリのあるお金の使い方ができているので、むりに切り詰める必要はないでしょう。これからもストレスなく続けられる方法で家計管理を行ってください。
②フリーランスに適した保障・フリーランス特有のお金の流れを把握する
フリーランスには厚生年金がなく、働けなくなった場合の保障もありません。iDeCoの増額を検討されているということでしたが、iDeCoは60歳まで資金を引き出すことができないため、万が一の医療費などにも充てられるNISAを優先することをお勧めします。
そのほか、万が一の際に積み立てた資金からお金が借りられて、税金対策にもなる「小規模企業共済」や「中小企業倒産防止共済」なども検討してみると良いでしょう。
会社員であれば、毎月の給与から天引きされる健康保険料や年金保険料、税金などがフリーランスの場合は収入から後で自分で払う必要があります。このお金の流れの違いを理解し、税金や保険料の予測を立てて、貯蓄とは別で計画的に貯めておきましょう。
③NISAとiDeCoの特徴を理解し、上手に使い分ける
「iDeCoは、フリーランスの税金対策になり老後資金の準備として有用な反面、60歳まで引き出すことができない」「NISAは途中で資金が必要になった場合に現金化しやすい反面、掛け金は所得控除されない」などそれぞれにメリット・デメリットがあり、上手に使い分ける必要があります。
「病気になった時に今あるお金で足りないんじゃないかという不安がある」とおっしゃっていたため、万が一の際に必要となる医療費の目途が立つまでは、換金性の高いNISAを優先すると良いでしょう。
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