今回紹介するのは、保険会社で働く50代女性のMさんです。現在は単身で生活をしていて、金融資産は2,300〜2,500万円ほど保有しているそうです。しっかりと貯蓄しているMさんですが、家計管理を意識するようになったのは30代の時からとのこと。そんなMさんが、何をきっかけに資産形成を始めたのか、どうやって現在の資産を築いたのか、将来に対してどのように考えているのか、インタビューしました。
貯蓄の鉄則は「使わないお金を決めておくこと」
ーどのような家計管理をしていますか?
家計管理はアプリを活用して収支を合わせています。若い頃から家計管理はしていたのですが、当時は貯金するお金を先に取っておくようにしていました。使わないお金を決めておくことが貯蓄の鉄則だと思っています。
ーしっかりと家計管理されているのですね。金融資産は、普通預金のみですか?
金融資産の内訳ですと、普通預金以外にも定期預金にも預けていますし、投資信託や株も保有しています。
就職してからは会社の財形口座を利用して先取り貯金をはじめました。1社目が保険会社で私が若い頃は利率が良かったので、積立型の保険にも入っていました。特に切り詰めたということはなく、当時の保険会社は年に3回ボーナスが出たり、お給料が良かったので、貯めやすい環境だったと思います。今は、貯蓄型の保険料を毎月払っているので、別途積立定期のようなもので先取り貯蓄をすることはしていません。手取りの30%くらいを保険に入れている感じです。
家計管理の意識が高まったきっかけは「結婚観」への気づき
ー家計管理をはじめたきっかけは何かありましたか?
学生時代から家計管理はしっかりしていたほうだと思うのですが、より考えるようになったタイミングは30代に入ってからだと思います。自分が本当に欲しいものには安心してお金を使いたかったので、学生時代にアルバイトをはじめたタイミングから、入ってくるお金と出ていくお金を管理するためにお小遣い帳を付けていました。スキーやダイビングをやっていたので、遊ぶためのお金を計画的に貯めていたという感じですね。30代になって「結婚しないかもしれない」と思い、より意識して家計管理をするようになりました。
ー昔からしっかりと家計管理をされていたのですね。世の中には「お金が貯まらない」と悩んでいる人がいらっしゃるかと思いますが、Mさんから何かアドバイスはありますか?
そもそも全くお金が貯まっていないいない段階であれば、まずは貯蓄する意識と習慣を身に着けることが第一歩ですね。その上で、ある程度貯蓄が出来てきたら物価が上がっている社会情勢なので、投資もしておいた方がいいと思います。
「貯蓄で何とかできる」のであれば保険料を払う必要はない
ーリスクに備えるために、どのような保険に加入していますか?
加入している保険は、掛け捨てのがん保険と終身保険(月払い・前納)と年金保険に加入しています。
がん保険は月払い約4,000円位の保険に加入しています。終身保険は3つの保険に加入しており、前納で全額払込済みの保険と月払いで約2万円・ドル建てで184ドルの保険に加入しています。
終身保険の保険料はそれぞれ年間2万円くらいだったんですが、(ドル建てで)ドルで保険料を支払っている保険だけ円安の影響で3万円近くになっていて…。今は月に7万円位払っていると思います。掛け捨ての医療保険とがん保険の保険料は合計年間で8万円くらいです。
終身保険は貯蓄に近い感覚で行っていて、今解約しても2本はプラス、1本はもうすぐプラスマイナスゼロくらいになっています。
ー保険についてどのように考えていますか?
貯蓄で何とかできるのであれば、(特に掛け捨ての)保険料を払う必要はないと思っています。貯蓄で何とかなる程度の金額をもらうだけであればもったいないなと。
それに気付いたのは40歳くらいのときです。保険証券を見ていて、万が一の時に1日5,000円のお金をもらうためにいくら払うんだろうと馬鹿らしくなり、医療保険を見直しました。
資産運用はバランス型の投資信託。長期視点で資産も右肩上がり
ーどのような資産運用に取り組んでいますか?
主に投資信託で、30歳の頃から運用しています。商品は入れ替えたりしていますが、投資信託自体はずっと持っています。最初に購入した商品は覚えていないのですが、2本目に購入したのは債券などが含まれているバランス型のものでした。そのほかにはiDeCoと株をやっています。iDeCoはREITなどに投資し、株は応援したい企業だけを3銘柄だけ保有している状況です。NISAは旧NISAで投資信託を購入していましたが、仕事が楽しく、お金に関する興味が薄れてしまっていて、新NISAへの移行は済んでいません。
ー若い頃から資産運用をされていたのですね。これから投資や資産運用をはじめる人へのアドバイスはありますか?
私も若い頃から投資信託などを購入していて、リーマンショックなどもありましたが、長期的な視点で見ると着実にお金が増えています。実際に投資した金額に対して40%ほど増えている現状です。なので若い人こそ早いうちから投資をはじめた方が良いと思っています。
若い人がお金を増やそうと思うのであればバランスを意識して投資信託に投資するのが良いのではと思います。世界は右肩上がりに成長しているといわれているので、一時的に下がることはあっても、バランスよく長期で持っていれば、資産も右肩上がりになるのでは?と考えています。
ー若い人こそ早いうちから投資をはじめたほうが良いとお考えなのですね。一方、元本割れなどのリスクもあり「投資は怖い」と思われている方もいると思いますが、投資についてはどのようにお考えですか?
投資が怖いと感じるのは、ギリギリの状態でやっているからだと思います。投資したお金は手元から離れてなくなったものと思っているので、あまり元本割れなどは気になりません。
アプリを見ていると、1日で10万円ほど下がることもありますが、全体的に見ると上がっているので、日々の値動きに一喜一憂しないようにしています。
家計管理・保険・資産運用の今後について
ー今後はどのように家計管理をしていこうと考えていますか?
老後のことについては、今後物価がどれだけ上がるかは気になるところですが、自分自身が健康で働き続けられたら心配ないと思っています。
お給料がすごく低い会社で働いたことがあるのですが、それでも生活できた経験があり、収入が少なくてもなんとかやりくりできることがわかったので、老後の不安はあまりありません。変わらず収支を管理しながらやりくりしていきたいと思います。
ただ、親の介護にかかる費用が心配です。親は自分と同じくらいしっかり貯められていないだろうなと思うので、親の分のお金を出して、自分の分がなくなったら困るなと。自分や親が元気じゃなくなった時に、どのくらいお金が必要なのかわからないというのも少し不安ですね。
高額療養費制度などもあるので、そこまで心配しなくても大丈夫かなと思いつつも、そこまで詳しくわかっていないので…。公的な年金とか社会保障などがどのくらいもらえるのかもっと具体的に見えてくれば、そこまで心配しなくても良いのかなとも考えています。働くことが好きなので、とにかく体が元気なうちは働こうと思います!
ー今後、保険を見直す予定はありますか?
貯蓄型の保険が中心で貯金に似た感覚でやっていて、掛け捨てのものは最低限しか入っていないため、今後保険を見直すことは考えていません。
ー今後の資産運用についてはどのように考えていますか?
今の金融資産の比率は現金74%、投資信託22%、株3%くらいです。金融資産の現金比率が高いと感じているので、現金の比率を50%にして、株や投資信託に投資する予定です。
ーMさんが考える「お金と上手に付き合う秘訣」とは何ですか?
お金には執着せず、適度な距離をとることが大切だと思っています。
放っておいて思い出したころに確認するのが私にはちょうど良いです。
私がもったいないと思うのは、元本割れではなく、支払わなくても良いお金を払うことです。特に利息がもったいないのでローンや分割払いなどにはしません。その分自分の身になるものに投資したり、自分の心を豊かにするものにお金を使いたいですね!
ウェルスガイドからのワンポイントアドバイス
Mさんは現在2,300〜2,500万円の金融資産をお持ちで、株やiDeCo、NISAにも取り組まれていて、ご自身が加入されている保険のこともよく理解していらっしゃるという印象を受けました。家計管理や資産運用、保険についてご自身で主体的に考えて動く姿勢が素晴らしいです。
一方、保険料の支払いが手取りの約30%を占めているという点が気になりました。貯蓄型の保険を貯金代わりに活用しているということでしたが、非常に高い割合です。物価上昇などのリスクに対応するためにも、保険と貯蓄・資産運用は分けて考え、バランスを重視して、割合を再検討すると良いかもしれません。例えば、保険ではなく、NISA等を使って資産運用をするのも一つの手段です。引き出し等の自由度も高まるためおすすめです。
資産運用に関しては、今までのように一度にまとめて買うのではなく、定期的に一定額積み立てていく『ドルコスト平均法』という手法を取り入れると、より資産運用のリスクを下げられるでしょう。iDeCoを継続し、新NISAを活用した資産運用を早めに開始することをおすすめします。