投資を早くから始めて継続していけば、資産だけでなく人生の選択肢を増やすことにつながります。投資にはリスクがつきものですが、リスクをコントロールして大きな失敗を予防することは可能です。
この記事では、投資が必要な理由、投資を始める前にやるべきこと、リスクを最小限に抑えながら投資を始める方法について順を追って解説します。
正しく知って、実践して、将来に役立てましょう。
目次
- 豊かな人生に向けて「投資」は必要
- 最低限必要な「預貯金」と「知識」がある
- NISAとiDeCoを活用して投資を始める
- リスクを抑えて、長く運用する
- 投資は「自分」と「世界」の二刀流で
- まとめ
豊かな人生に向けて「投資」は必要

なぜ「投資が必要」と言えるのか、その理由は以下の3つです。
- 物価上昇に備え、モノを買う力を維持するため
- 効率よく退職金や年金以外の資産を準備するため
- 未来の収入を増やすため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
物価上昇に備え、モノを買う力を維持するため
よく「投資にはリスクがある」と言われますが、それは預貯金も同じです。
物価上昇が起こると、同じ金額でも買えるモノの量が少なくなったり質が低下したりします。つまり、額面上の数字は減っていなくても、実質的な資産価値は目減りしてしまうということです。
預貯金は物価上昇に弱い傾向があります。一方で、投資を行っていれば物価上昇に合わせて株価上昇などの恩恵を受けられる可能性があります。
投資を行うことで、物価が上昇する局面でも資産を守り、モノを買う力を維持することにつながります。

効率よく退職金や年金以外の資産を準備するため
今の時代、公的年金だけで豊かな老後生活を送ることは難しいでしょう。かつては当たり前だった終身雇用や高金利の預貯金も、いまや過去のものです。
これからは、退職金や年金といった「もらえるお金」に頼るのではなく、不足分を自分で準備していく必要があります。
投資は、預貯金よりもお金を増やせる可能性が高く、必要な資金を効率よく準備していくために役立ちます。
未来の収入を増やすため
投資を行うことは、未来の収入を増やすことにつながります。
たとえ定年退職したり働けなくなったりしても、投資した資産が利益=収入を生んでくれます。労働による収入以外にも収入源があれば、お金の面だけでなく精神的にも時間的にも余裕ができるでしょう。
金融商品を購入して「世界」に投資するだけでなく、「自分」に投資するのもおすすめです。スキルや知識を身に付けるために費用と時間をかけることは決して無駄ではありません。収入アップが実現すれば、投資に回す金額を増やすこともでき、良い循環を作れます。
最低限必要な「預貯金」と「知識」がある

投資を始める前にまずやるべきことは、以下の2つです。
- 家計を見直し、余裕資金を増やす
- リスクとリターンの相場など投資するうえで最低限必要なことを知っておく
それぞれ解説します。
家計を見直し、「生活予備資金」を確保する
投資を始める前の下準備として、まずは現在の家計の状況を把握して見直しておきましょう。
投資は、しばらく使う予定がないお金(余裕資金)の範囲内で行うことが鉄則です。生活費やすぐ使うお金で投資をしてしまうと、損失が出たときに生活に支障が出て、冷静な投資判断ができなくなるからです。
いくら投資に回せるか知るためには、余裕資金がどれくらいあるのか(つまり、直近で使う予定がある金額や家計の状況など)を知っておく必要があります。家計を把握するのと同時に、支出を見直して適正化しておけば、投資にまわす金額を増やせるでしょう。
なお、投資をする場合でも、手元に必ず「生活予備資金」を確保しておくようにしてください。生活予備資金は、病気など想定外かつ突発的な出費に耐えるための備えとなるお金です。「生活費の3〜6カ月分」と「近い将来使う予定のあるお金」の合計額を目安に生活予備資金を準備しておきましょう。

リターンの相場は「年3~7%」が目安と考える
投資をするうえで、リスクとリターンの関係について知っておくことは必須といえます。
通常、リスクとリターンは比例します。高いリターンを求めるとリスクが大きくなり(ハイリスク・ハイリターン)、リスクを抑えようとするとリターンも低くなる(ローリスク・ローリターン)と覚えておきましょう。
「ローリスク・ハイリターン」や「絶対に儲かる投資」はありません。また、投資で得られる利益は、年率3~7%ぐらいが目安です。
こういった最低限の情報を押さえておくことで、投資詐欺に騙されたり、リターンだけに目が向いて高いリスクを取りすぎてしまったりといった失敗を避けられます。
NISAとiDeCoを活用して投資を始める

通常、投資をするときは税金や手数料などのコストがかかります。そのコストを抑えれば抑えるほど、同じ利回りでも手元に残る金額が多くなります。
近年は、税制優遇を利用することで投資にかかる税金の負担を減らすことが可能です。リスクを抑え、着実にリターンを得るために、税制優遇のメリットを最大限に享受することを考えましょう。
おもな税制優遇としてNISAとiDeCoがあります。それぞれの特徴やメリットを比較して、自分に合う方法を選びましょう。
投資の目的に応じて自由に非課税枠を使える「NISA」
NISAは「少額投資非課税制度」ともいい、投資で出た利益に税金がかからなくなるのが特徴です。通常の投資では利益に対して20.315%の税金がかかることを考えると、効果はかなり大きいといえるでしょう。
株式や投資信託などに投資できる「成長投資枠」と、一定の投資信託に積立投資ができる「つみたて投資枠」の2種類があり、それぞれ投資できる金額の上限(非課税枠)が決められています。両方合わせると、一生涯で1,800万円まで非課税で投資できる計算です。
後述するiDeCoとは異なり、自由度が高く、いつでもお金を引き出せるのが大きなメリットです。わずかな金額でも始められるので、初心者でも利用しやすいでしょう。
老後資金の積み立てに有効な「iDeCo(個人型確定拠出年金)」
iDeCoは、自分で自分の年金を用意するための制度です。老後に向けてお金を積み立てていくための制度なので、NISAと違い、原則として60歳まで資金を引き出せないという制限があります。
しかし、その代わり、NISAにはない税制優遇が認められています。投資の利益に税金がかからないだけでなく、掛金の全額が所得控除の対象になり、受け取るときも退職所得控除や公的年金等控除の対象です。つまり、所得税や住民税の負担を大幅に抑えられます。
ただし、受け取り時にも税制優遇はあるものの、全く税金がかからないわけではなく、受け取り方によって税額や手数料が異なるため注意が必要です。
iDeCoは節税効果が高く、強制的に老後資金を貯める仕組みを作るのに適した選択肢といえるでしょう。
少額から早く投資を始めて経験を積む
投資を始めてすぐに、いきなり大金を投じるのはリスクが高すぎます。あまりに大きな金額だと、一時的に値下がりしただけでもパニックになり、誤った判断をして損失を拡大させてしまうかもしれません。
最初のうちは特に、失っても気にならないくらいの金額の範囲内で運用してみて、経験を積んでいくことが大切です。先ほど紹介したNISAやiDeCoのように、数千円程度から始められる投資もあります。もし、少額でも無くなってしまっても生活に支障がないお金があるのであれば、毎月少しずつ投資してみると良いでしょう。
リスクを抑えて、長く運用する

リスクのない投資は存在しません。しかし、リスクをコントロールして、大きな失敗を予防することは十分可能です。
リスクを抑えて投資を始めるときのポイントは、以下のとおりです。
長く続けて「複利の効果」を享受する
投資には「複利の効果」があります。投資で得た利益を再び投資することで、さらなる利益が生まれます。これを繰り返すことで、どんどん利益が利益を生んでお金が増えていく力が強くなっていきます。
複利の効果は「雪だるま式」と言われるほど強力で、長く続けて投資するほどお金が増えやすい状態になっていきます。
初心者でも実践できる投資のコツは、複利の効果を享受することです。できるだけ早く始めて、できるだけ長く続けましょう。
「長期・積立・分散」を心掛け、リスクを抑える
リスクを抑えて投資を行いたいなら、「長期・積立・分散」の3つが欠かせません。
- 長期…10年以上を目安に、できるだけ長く投資する
- 積立…毎回一定額ずつ定期的に投資し続ける
- 分散…世界中のさまざま国や企業の株式や債券など、異なる特長を持つ複数種類の資産に分けて投資する
上記の3つは、金融庁の公式サイトでもリスクを抑える投資法として紹介されています。
自分のリスク許容度に合わせて運用する
どこまでのリスクなら許容できるのか、その基準は人によって違います。前述のリスクとリターンの関係も踏まえて、自分の場合はどれくらいを目指すべきなのか考えてみましょう。
一般的には、年収や資産が少ない人やまもなくリタイアを迎える人のリスク許容度は低めな(リスクを抑えたほうが良い)傾向があります。逆に、収入が安定している人や資産が多い人、失敗しても挽回できる時間がある若い人などは多少リスクを取っても良いでしょう。
リスクの「取りすぎ」は危険ですし、「取らなさすぎ」では資産を増やせる可能性が低くなってしまいます。自分に合ったリスクの取り方で運用していきましょう。
ライフステージに合わせて資産配分を調整する
同じ人でも、ライフステージによってリスク許容度が違ってきます。たとえば、若いうちは積極的にリスクを取って運用していた人でも、定年退職するころには「積極的に増やす」より「堅実に守る」ことが重要になってくるのが一般的です。
リタイア時期が近づくにつれて株式の割合を減らすなど、状況に合わせて適宜リスクの調整を検討しましょう。

投資は「自分」と「世界」の二刀流で

できるだけ早いうちから「自分」と「世界」への投資を始めましょう。
- 自分への投資=自己投資
- 世界への投資=世界中の株式や債券などへの投資
将来につながる自己投資にお金をかけるのは、無駄遣いではありません。技能や知識を身に付けて「働いて稼ぐ力」を向上させるためにも必要なことです。
働いて収入が得られるうちから、並行して世界への分散投資も行っておきましょう。余裕ができ次第、早めに始めて長く続けるのが大切です。
「自分への投資」と「世界への投資」は、うまく回れば相互に良い影響をもたらします。それは金銭的・時間的・精神的な余裕を生み出し、人生の選択肢を広げることにもつながるでしょう。

まとめ
ここまで、投資の考え方や始めるときのポイントなどについて解説してきました。特に重要なのは以下の点です。
- 投資は、豊かな人生を実現するために必要
- 投資を始める前に、最低限の預貯金と知識を備える
- NISAやiDeCoといった税制優遇を利用する
- 「長期・積立・分散」でリスクを抑える
- 「自分への投資」と「世界への投資」の両輪を回す
上記のポイントを押さえて投資に取り組み、人生の選択肢を増やしましょう。