自分がいくら稼いでいるのか把握している人は多いでしょう。しかし、「毎月何にいくら使っていますか」と聞かれ、すぐに数字が思い浮かぶ人は多くないかもしれません。
もし、「老後資金が2,000万円足りないと聞いたが、どう頑張ってもそれだけ貯まりそうにない」などお金の不安を感じることがあるのなら、「家計管理」をはじめてみてはいかがでしょうか。
家計管理とは、収入と支出のバランスが理想的な状態となるように整えることです。家計管理をすることで、将来のライフイベントやもしもの場合に必要となる『お金』に関する不安を軽減することができるでしょう。
家計管理は、豊かな生活を手に入れるための第一歩です。以下では、家計管理がなぜ必要なのか、どのような考え方で行うべきかを説明していきます。
目次
- 将来のお金の不安を少なくするには、適切な家計管理が必要
- 収支を黒字にし、生活予備資金をためる
- 「どんな人生を送りたいか」もあわせて考えてみる
将来のお金の不安を少なくするには、適切な家計管理が必要
お金の不安を抱えている人は多いようです。たとえば、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)が2023年10月に実施した調査によると、調査対象者の81.8%が将来のお金に対する不安があると回答しました(※1)。
「人生100年時代」と言われるように、最近では長寿化の進行によって、老後の生活資金を確保する必要性がより強く意識されるようになっています。それ以外にも、結婚や出産、子育て、マイホームの購入など、人生にはお金を抜きに考えられないライフイベントがたくさんあります。多くの人がお金に不安を感じるのも無理はありません。
その一方で、お金の不安はあっても、不安を取り除くためのアクションを取れている人はそれほど多くはないようです。前出の調査では、将来のお金に対する不安があると答えた人のうち、適切に家計管理をしていると答えた人は32.4%にとどまりました。
あくまで推測ですが、「家計管理をしていない」と答えた約7割の中には、家計管理を「していない」というよりも、やり方がわからなかったり、難しく感じたりして「できていない」という人が多いのではないでしょうか。
しかし、何もしないままでは、お金の不安を解消することは難しいと言えます。家計の現状を把握するとともに、あるべき姿を考え、どこに課題があるのかを明らかにすることが必要です。課題がわかれば、解決に向けた改善策に取り組むことができます。
収支を黒字にし、生活予備資金をためる
家計のあるべき姿の大前提は、毎月の収支が原則として黒字であることです。収支が赤字になっている場合には、早急に改善に取り組む必要があります。この場合の選択肢は、「収入を増やす」、もしくは「支出を減らす」のいずれか(あるいはその両方)しかありません。
また、緊急の出費や、結婚や子どもの入学といった近い将来のライフイベントに備えるお金を確保しておくことも家計管理で優先すべき事項です。このような性格のお金を「生活予備資金」などと呼びます。一般に、最低限の生活に必要な月額費用の3〜6カ月分と、近い将来に使う予定があるお金を足した金額が目安とされます。
第一段階は、毎月の収支を黒字にし、生活予備資金を貯めることを目標にしましょう。
生活予備資金の計算例
第一段階がクリアできたら、10年、20年先に必要な大きな支出への備えを始めましょう。幼い子どもの大学進学資金や老後資金などがこれに当たります。
しばらく使わない「余裕資金」を資産運用にまわすことで、長い目で資産を増やせる可能性があります。資産運用の考え方については、別の記事で詳しく紹介します。
老後など将来の大きなライフイベントに向けて「余裕資金」を資産運用にまわす
「どんな人生を送りたいか」もあわせて考えてみる
家計管理に取り組む際には、「どんな人生を送りたいのか」というライフプランもあわせて考えてみることをおすすめします。なぜかというと、そもそも家計管理は「充実した豊かな生活を送るため」に行うものだからです。
一口に「充実した豊かな生活」といっても、その定義は人それぞれ異なります。
たとえば、「毎年1回は海外旅行に行きたい」という方もいれば、「田舎で読書や料理をしながらのんびり暮らしたい」という方もいるでしょう。何に価値を感じ、どんな人生を望むかによって、日々の支出や将来のために用意しておくべき金額は違ってきます。
この先のライフプランのイメージが具体的であれば、それを実現するための目標金額や計画が立てやすくなるはずです。「何のためにやっているのか」という目的意識を強く持つことができるため、途中で挫折してしまう可能性も低くなるでしょう。
ここまでが、家計管理がなぜ必要で、どのような考え方で行うべきかについての大まかな説明です。家計管理に興味を持ったり、実際に取り組んでみようと思った方は、熱が冷めないうちにさっそくはじめてみるのがよいでしょう。
別の記事では、家計管理のポイントをより掘り下げて解説しています。ぜひ、そちらも参考にしてみてください。
※1 日本FP協会「これからのお金と給料に関する意識調査」(2023年11月24日)