保険は「一度入ったら入りっぱなし」ではなく、定期的に見直した方が良いといわれています。とはいえ、どうやって見直せば良いのか分からないという人も多いでしょう。
この記事では、保険を上手に見直す方法を紹介します。
なぜ保険を見直した方が良いのか、どのようなタイミングで、どのような点に注意して見直すと良いのか、詳しく見ていきましょう。
保険を見直すべき理由とメリットは?
保険は定期的に見直した方が良いとされる主な理由は次の3つです。
- ライフステージによって必要保障額が大きく変わるから
- 貯蓄や保障が増えることで保険が不要になることもあるから
- 医療事情の変化によって必要な保険が変わることもあるから
それぞれどういうことなのか、保険を見直すことでどんなメリットを得られるのか解説します。
ライフステージによって必要保障額が大きく変わるから
必要な保障は、ライフステージによって変わります。
例えば同じ人でも、子どもが産まれたばかりの30代のころと、子どもが巣立ったあとの60代のころとでは、自分に万が一があった場合に遺族が生活していくのに必要な金額に大きな差があるでしょう。
ずっと手厚い保険に入っていれば安心ですが、その分保険料の負担が重くなります。かといって、保障が手薄過ぎると万が一の場合に遺族が生活を維持できなくなる可能性が考えられます。
効率良く、かつ過不足なく必要な保障を確保するには、「子どもが小さいうちは保障を手厚くして守りを固め、養うべき家族が手を離れたら保障を減らして保険料を抑える」など、その時々の状況に応じて保険を見直していくことが有効です。
貯蓄や保障が増えることで保険が不要になることもあるから
保険に加入してから時間が経過し、加入当初より貯蓄が増えている場合、かつて必要だった保険が不要になることがあります。
例えば医療保険など、保障される金額が比較的小さい保険は、十分な貯蓄があれば保険に入らなくても問題ない可能性が高いでしょう。
また、貯蓄が増えた場合だけでなく「マイホームを購入して団体信用生命保険付きの住宅ローンを組んだ」「転職先の会社の保障が手厚かった」など保障が増えた場合も、重複する保険が不要になる可能性があります。
不要な保険を削減すれば、保険料を節約できます。浮いた保険料を趣味や資産運用など他のことに使えるようになる点も、保険見直しの大きなメリットです。
医療事情の変化によって必要な保険が変わることもあるから
医療は日々進歩しています。特に医療保険やがん保険は、医療事情の変化に応じて見直す必要性が高い保険です。
例えば、昔は「がん=近いうちに亡くなる可能性が高い重病」のような扱いでした。そのため当時のがん保険は、20日以上の入院で入院給付金が出たり、死亡保険金が出たりするものが主流でした。
しかし、現在はがんの治療をしながら仕事に復帰する人も多く、治療の種類ごとの給付金や日帰り入院でも受け取れる給付金などが充実し、死亡保険金は標準装備ではなくなってきています。
定期的に保険を見直すことで、最新の医療事情に合った保障を準備しやすくなるでしょう。
生命保険を見直すべきタイミングはいつ?

保険の見直しはいつでもできます。ただ、生命保険の見直しには、特に適しているタイミングがあります。それは、必要な保障額が変動する時期(人生の岐路で生活環境が大きく変わる時期)です。
具体的には、次のようなタイミングで生命保険を見直すのがおすすめです。
結婚するタイミング
結婚して、経済的に養うべき家族が増えたら、保険を見直す必要があるでしょう。自身に万が一のことがあった場合でも、その後の家族の生活を守っていくためです。
ただし共働きの夫婦など「どちらかに何かあっても、もう片方の生活は維持できる」といった場合は、保険を追加する必要性は低いでしょう。逆に、互いに万が一の生活を支えられるため、保険を削っても問題ないケースも考えられます。
子どもが生まれるタイミング
子どもが生まれる時は、特に保険を見直した方が良いタイミングです。子どもが小さいうちに親に万が一のことがあったら、子どもの成長や教育に影響が出る可能性が高いためです。
子どもが生まれるタイミングでの見直しでは「死亡保障=子どものための保障」をメインに考えると良いでしょう。子どもの独立(もしくは大学卒業)までに必要な資金相当の保障を準備しておくと安心です。
保険でいくら用意しておけば良いのか、その考え方やポイントは後述します。
子どもが進学するタイミング
子どもが進学したということは、子どもが自立するまでに必要な資金が数年分少なくなったということです。例えば、子どもが中学校に進学すると、小学校6年分の保障は必要なくなるため、その分の保険を削減することができます。
教育費の負担が重くなり支出が増える時期でもあるので、こまめに保険を見直して保険料を抑えることが大切です。子どもが誕生した時や巣立つ時ほどではありませんが、見直しに適したタイミングといえるでしょう。
子どもが就職・独立するタイミング
子どもが就職・独立すると、子どもに対する保障を親が準備する必要性がなくなります。
そのため、今まで子どものために入っていた保険は削減しても良いでしょう。自分や配偶者の老後を見据えて、保障内容を見直すのにも良いタイミングです。
転職・独立するタイミング
仕事が変わると、収入や加入する健康保険などが変わる場合があります。
特に、大手企業の会社員だった人が独立してフリーランスになるケースなど、保障が手厚い健康保険組合から最低限の保障のみの国民健康保険に変わる場合には保険の見直しが必要です。手薄になった保障分を補うために、新たに保険に加入することも検討した方が良いでしょう。
逆に、「保障が手薄な職業・企業」から「保障が手厚い職業・企業」に転職した場合も、それまで加入していた保険を減らして保険料を節約できるチャンスといえます。
マイホームを購入するタイミング
住宅ローンを組んでマイホームを購入すると、多くの場合、住宅ローンとセットになっている団体信用生命保険(団信)に加入することになります。
団信は「契約者本人が亡くなった場合、残りのローン返済が不要になる」ものが一般的です。つまり、遺族の生活にかかる住居費分の保障を準備する必要はなくなります。その分の保険料を節約できるため、マイホームを購入するタイミングで保険を見直すと良いでしょう。
定年退職するタイミング
定年退職を迎えた時点で十分な老後資金を準備できていれば、働けなくなった場合の保障や、死亡した場合の多額の保障を準備する必要性は低くなります。
収入が少なくなるため、現役時代と同じ保険のままだと保険料の負担が重くなり過ぎる可能性もあるでしょう。
残りの人生を考えて、どんな保険がどれくらい必要なのか改めて検討するのに適したタイミングです。
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保険を見直す際に注意すべきポイントとは?

前述の通り、保険の見直しには多くのメリットがあります。しかし、気を付けておきたいこともあります。デメリットや注意点についても知っておきましょう。
- 支払った保険料よりも少ない解約返戻金しか受け取れない可能性がある
- 再加入・新規加入ができない可能性がある
- 契約時の年齢が上がることで、保険料が高くなる
- 免責期間がある
それぞれ解説します。
支払った保険料よりも少ない解約返戻金しか受け取れない可能性がある
貯蓄型の保険は、解約すると解約返戻金を受け取れます。ただし、早期に解約した場合は解約控除が差し引かれ、受け取れる金額が少なくなります。
特に「低解約返戻金型」といった名の付く貯蓄型の保険では、初期に解約するとほとんど解約返戻金を受け取れない設計になっているものもあるため注意が必要です。
保険を見直す際は、解約する前に必ず、解約返戻金の有無や金額を確認するようにしましょう。
再加入・新規加入ができない可能性がある
保険を見直した結果「この保険を解約して、別の保険に入ろう」と考えることもあるでしょう。しかし、一度解約してしまうと、健康状態によっては再加入もしくは新しい保険への加入ができない可能性もあります。
「ひとまず先に解約する」ではなく、「次の保険に加入して、新しい保障を確保できてから解約する」という手順にするのがおすすめです。直近で入院や手術をしている場合など、健康状態に不安がある人は特に注意しましょう。
契約時の年齢が上がることで、保険料が高くなる
同じ保険でも、30歳で加入するのと40歳で加入するのとでは、保険料が異なります。一般的に、契約時の年齢が上がれば上がるほど、保険料が高くなるためです。
「若いころに入った保険を見直して別の保険に入ろうとしたら、保障を減らしたのに保険料が高くなった」「ゆっくり検討していたら、誕生日が来て年齢が上がり、保険料も上がってしまった」といった事例もあるので気を付けましょう。
免責期間がある
免責期間とは、保険に加入してから保障がスタートするまでの期間のことです。がん保険や、医療保険のがん特約では、免責期間(90日の場合が多い)の設定があるものが一般的です。
例えば免責期間が90日のがん保険に加入した場合、加入から80日目にがんが見つかったとしても、給付金はまったく受け取れません。
新たな保険に加入する時は、免責期間の有無や期間をよく確認しましょう。今までの保険から乗り換える場合は、新しい保険に加入した時ではなく、新しい保険の免責期間が終わって保障が開始された時以降に古い保険を解約することも大切です。
保険の見直しをする際に必ず確認しておきたいポイントは?

保険を見直す際は、以下のポイントを確認してみましょう。
- 自分が死亡した場合、家族の生活を守るためにいくら必要か?
- 保険料の支払いが家計を圧迫しないか?
- 働けなくなった場合に不足する金額はいくらか?
- 入院・手術のための保障は本当に必要か?
「どんな保険にどれくらい入れば良いのか分からない」という時、上記のポイントが判断基準になります。以下、それぞれ解説します。
自分が死亡した場合、家族の生活を守るためにいくら必要か?
生命保険を見直す時は、自分に万が一のことがあった場合、家族が今の生活を維持するために必要な金額はいくらくらいなのか考えてみましょう。
生活費や教育費など「出ていくお金」はもちろん、配偶者の収入や遺族年金など「入ってくるお金」も把握して、その差額から、保険で用意しておくべき金額を計算してみるのがおすすめです。
出ていくお金が少ない場合や、入ってくるお金が多い場合、足りない分を貯蓄だけで補えそうな場合など、保険に入る必要がないケースも考えられます。
ちょうど良い保障額は人によって違います。1つ1つ自分で調べて計算することもできますが、手間を省きたいなら、保険会社などが提供している計算ツールを利用したり専門家に相談したりするのも1つの方法です。
保険料の支払いが家計を圧迫しないか?
当然ながら、保険に入れば入るほど保険料の負担が大きくなります。将来の困窮を防ぐために保険に入っているのに、保険料が高すぎて今の生活が苦しくなっていたら本末転倒です。
保障内容と保険料のバランスを見つつ、「無理をして保険料を払っていないか?」「万が一や将来のために今を犠牲にしていないか?」と考えてみましょう。
若いうち(20~30代)に加入すれば、月々2,000~3,000円程度の保険料で、一生涯続く1,000万円の死亡保障を準備することも十分可能です。無理して多額の保険料を払う以外の選択肢もあるので、よく比較検討したいところです。
働けなくなった場合に不足する金額はいくらか?
生命保険というと、「亡くなった場合」か「入院や手術が必要な場合」に備えて加入するものと考える人が多いかもしれません。しかし、そのどちらにも該当しない「働けなくなった場合」に備えることも重要です。
例えば病気やケガが原因で働けなくなった場合「収入は激減したのに医療費の支出は増え、生活費や住宅ローン返済の負担も続く」といった事態になる可能性があります。
生活を維持しながら治療に専念するために必要なお金と、働けなくなった場合にもらえるお金(傷病手当金など)の差額から、休業保障の必要性を考えてみましょう。
特に、 傷病手当金は勤務先や職業によってもらえる金額が大きく異なるので事前の確認が必要です。
入院・手術のための保障は本当に必要か?
医療保険やがん保険などは「入院日額〇万円、手術給付金■万円」といった保障内容になっていることが多いですが、それは本当に必要でしょうか?
例えば、1日当たりの入院費用は平均2万円程度といわれています。貯蓄が十分にある人なら、保険に入っていなくても問題なく支払えることが多いでしょう。また、勤務先によっては福利厚生が手厚く、通常に比べて医療費の負担が抑えやすい人もいます。
保険料を支払って、数万円〜数十万円を受け取るための保険に入る必要があるのか考えてみましょう。
「今加入している保険が自分に合っているか分からない」「保険に入りすぎている気がするけれど、見直し方が分からない」という方はまずは電話で相談してみませんか?
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効率的に保険を活用するためにすべきことは?

最後に、保険を上手に利用するために重要な考え方を4つ紹介します。
- 保険と貯蓄・投資は分けて考える
- 掛け捨ての保険を上手に活用する
- 保険以外の商品と比較検討する
- もらえるお金について理解を深める
もしもの場合に困らないだけの保障を確保しつつ、できるだけ保険料を抑えたい人にとって重要なポイントばかりです。詳しく見ていきましょう。
保険と貯蓄・投資は分けて考える
基本的に、保険と貯蓄・投資は分けて考えるのがおすすめです。
「保険を貯蓄代わりに使う」「保険で資産運用する」といった目的で、貯蓄型の保険に入っている人、入ろうと検討している人も多いでしょう。
ただ、保険で貯蓄・投資する場合、貯蓄・投資に余分なコスト(手数料)がかかります。さらに、保険料が割高な貯蓄型の保険を活用することで、準備できる保障が少なくなってしまい、必要保障額をカバーできない可能性もあります。
保険は保障の機能のみにして、資産形成は別で行うようにした方が効率的でしょう。
掛け捨ての保険を上手に活用する
保険には「貯蓄型」と「掛け捨て型」があります。掛け捨て型の保険は貯蓄の機能がない分、保険料が割安なのがメリットです。
掛け捨て型の保険を活用すれば、少ない保険料でも大きな保障を準備できます。
例えば、小さな子どもがいる若い世代など「日々の家計を圧迫したくないけど、十分な備えを確保したい」という人は、収入保障保険や定期死亡保険など掛け捨て型の死亡保険を選ぶのがおすすめです。
保険以外の商品と比較検討する
「もしもの場合の備え」は、なにも保険である必要はありません。例えば「医療費は預貯金でまかなえるようにする」「老後資金は中長期的な資産運用で確保する」などの選択肢もあります。
保険のみで全ての保障を準備しようとするのではなく、他の選択肢とも比較した上で検討すると良いでしょう。
保険を見直すことで、資産運用に回すお金を増やせる可能性もあります。
もらえるお金について理解を深める
日本では、全ての人が「社会保険(公的保障)」に加入しているため、民間の保険に入っていなくてもカバーできる部分もあります。
社会保険だけでは不足する部分のみ、保険に入るなどして自力で準備するようにすれば、「保険の入り過ぎ」を防ぎやすくなるでしょう。
ただし、社会保険でいくらもらえるのかは人によって大きく異なるため、自分の場合はどうなのか確認しておくことが大切です。社会保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
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定期的に保険を見直そう

生活環境が変化すると、必要な保険は変わっていきます。保険料の無駄を省きつつ、適切な保障を準備できている状態を維持するためには、その時の状況に合った保険に調整していくことが大切です。
特に、結婚、転職、子どもの誕生、住宅の購入など暮らしが大きく変化する時期は、見直しに適したタイミングといえます。またそのような機会はなかったとしても、時代や制度の変化に合わせて保険商品も変化するため、定期的な見直しが必要です。長い期間保険の見直しをしていない人は、加入している保険の内容が現状に合ったものになっているか確認してみてください。
保険を見直して保険料を節約できれば、その分を資産運用など別のことに充てる余裕が出てくるでしょう。自分や家族の今後のために、ぜひ見直しを検討してみましょう。
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