投資とは、精神的・時間的な豊かさを生み出して、人生の選択肢を増やすことができる行動です。
しかし、実際に、投資は預貯金とは違って、元本が保証されないため、「投資はリスクがあるから怖い」と思っている方も多いのではないでしょうか。
「貯金は安全、投資は危険」などと言われることもありますが、投資の王道は、長い時間をかけてリスクを抑えながら、資産を増やすことを目指す方法です。ハイリスク・ハイリターンを狙った、ギャンブルのような方法ではありません。
正しい方法で投資に取り組むことで、老後の豊かな生活に備えたり、将来モノを買うための蓄えができたりします。この記事では、投資することによって得られるメリットを解説します。
目次
- 物価上昇に備え、モノを買う力を維持する
- 退職金や年金以外の資産を準備する
- 金融資産を増やことで、働いて稼ぐ力を補う
- お金に余裕を生み出して、人生の選択肢を増やす
物価上昇に備え、モノを買う力を維持する

投資することで、将来、モノを買う力を維持できる可能性が高まります。
現金は元本が保証され、資産が減るリスクがないと思われています。タンス預金をしていてお金が勝手に減ることはありませんが、お金としての実質的な価値が減ってしまう可能性はあります。
お金は本来、モノやサービスと交換するためにあります。モノやサービスの値段は、時代とともに徐々に上がっていくと考えるのが自然です。
いまは100万円で買える自動車が、10年後には20%値上がりして、120万円になっているとしましょう。しかし、100万円を銀行に預けていても、現在のような低金利の状態が続く限り、10年後もほぼ100万円のままです。
持っている100万円で、元々は100万円の自動車を1台買えるはずでした。しかし、120万円に値上がりしていれば、自動車を買うのにお金が20万円不足することになります。このように、物価が上がると、同じ金額でも買えるものが減ってしまい、お金の価値がそのぶん減ってしまうことになるのです。
日本では、物価があまり変わらない時代が長く続いてきたと言われています。身近なものの値段は下がっていても、たとえば大学の入学金や学費など、長期的に大きく上がっている費用もあります。また、近年は国際情勢の影響などを受けて、これからは食料品や光熱費などの生活必需品も含め、物価上昇の時代に突入していく可能性があります。物価上昇に備えて、モノを買う力を維持するためにも、投資によって、物価上昇に備えておくことが重要なのです。
株式や不動産といった資産は、現金とは違って、物価上昇に強いと言われています。価値が変動するリスクのある資産は、経済の成長に伴って資産価値の上昇が期待でき、将来モノを買う力を維持することにつながるのです。

退職金や年金以外の資産を準備する

日本では、社会の構造が大きく変化しています。20年前、30年前の時代とは異なり、働きながら老後の生活に備えることが大切な時代になりました。
終身雇用を前提とした働き方は崩れ始めています。退職金の平均支給額は徐々に減っており、そもそも退職金の制度がない会社も増えています。公的年金制度がこれからも維持されるとしても、多くの人にとっては、退職金や年金だけで、余裕のある生活を続けることは難しいでしょう。
収入があるうちから余裕資金を投資にまわしておくと、将来の豊かさを確保できる可能性が高まります。投資を長く続けると、投資で得た利益がさらに利益を生むことが期待できます(このことを複利効果と呼びます)。1年あたりの利回りが低くても、長く続けることで、複利の効果で大きく資産を増やせる可能性が高まります。
老後の選択肢を増やすためにも、老後資金はできるだけ多く用意しておいたほうが良いでしょう。趣味やボランティアといった自分のやりたいことに時間を使うために早めにリタイアする、海外に旅行する、子どもや孫に贈り物をするなど、お金の余裕があればできることは増えます。余裕を持つためにも、投資しておくことが重要なのです。
金融資産を増やすことで、働いて稼ぐ力を補う

投資をしていない場合、お金を生み出す方法は、基本的に自分で働いて得ることになるでしょう。働くということは、その人が持つ時間や技能、知識をお金に換えていることになります。
年齢を重ねるにつれて、働いてお金を生み出せる残りの時間は減っていきます。そして、長く生きれば、いずれは働けなくなって収入がなくなるときが来るかもしれません。その後は、年金と合わせて、現役時代に貯めておいたお金を取り崩して生活していくことになります。
働けなくなって、収入がなくなってしまうことに、不安を覚える方は多いと思います。しかし、お金を生み出す方法は、働くことだけではありません。投資することでお金が経済成長のために使われ、さらにお金を生み出すことにもつながります。
投資を続ければ、新たに生み出されるお金は徐々に増えていくことが期待できます。投資をすることで、働いて自分で得る収入に加えて、自分の金融資産に働いてもらうことができるようになるからです。
大切なのは、働いて収入が得られるうちから、並行して投資も始めておくことです。長い時間をかければ低リスクの投資のみで達成可能なものでも、短期間で同程度の成果を得ようと考えると大きなリスクを許容しなければいけない可能性が高まります。
会社を退職して給与収入がなくなったタイミングで慌てて投資を始めて、リスクの高い商品に大きな金額をつぎ込んで失敗した、という事例をよく聞くことがあります。収入があるうちに、投資を実践して経験を積み、自分に合ったリスクがどの程度なのか把握しておくと、大きく失敗する可能性は低くなるでしょう。

お金に余裕を生み出して、人生の選択肢を増やす

ここまでに説明してきたように、投資によってお金を増やすことができれば、将来実現できることが増えます。投資することそのものが目的なのではありません。投資によって、時間的な豊かさや、精神的な豊かさを得られることこそが重要です。
将来のお金の不安がなくなれば、行動の選択肢も増えるでしょう。収入は減ってしまうとしても、興味のある新しい仕事に挑戦する、お金のかかる趣味を新たに始めるなど、多様な選択ができるようになります。
自分の人生をより充実させるために、投資によってお金の余裕を生み出すことを目指しましょう。