ライフプランとは、就職や結婚、住宅購入、出産、退職など、人生で大きなお金がかかるイベントに向けて、資金計画を立てることです。
ライフプランを立てることで、いつ大きなおお金が必要になるのかが一目で分かり、早めに準備に取りかかれるようになります。
本記事では、ライフプランを作成する時のポイントや、人生の3大資金にかかる費用の目安などについて解説します。
目次
- ライフプランとは人生の設計図のようなもの
- ライフプランを想像してお金が必要なタイミングを把握しよう
- 人生の3大資金「住宅資金」「教育資金」「老後資金」はどの
- 3大資金以外にも「お金」が関わるライフイベントがある
- ライフプランは状況や価値観によって変わってくる
- 自分の希望を叶えるためのライフプランを描いてみよう!
ライフプランとは人生の設計図のようなもの
ライフプランとは、将来、自身に訪れるであろうライフイベントに対する資金計画を立てることを指します。そのため、ライフプランは、人生の設計図と言われることがあります。
ライフイベントとは、就職、転職、結婚、出産、住宅購入、独立開業、退職など人生の中で大きなお金がかかる出来事のことです。人は人生の中で、いくつかのライフイベントを経験するため、それに対応するための資金を準備しなければなりません。
ライフプランをつくる時は、まず自身がどのような人生を送りたいのか、あるいは送る可能性があるのかを具体的に考えます。
次に理想的なライフイベントを迎える時期と、どれくらい資金が必要なのかを決めていきます。
ライフプランを想像してお金が必要なタイミングを把握しよう

ライフプランをつくると、大きなお金がかかる時期がいつなのかが一目で分かるため、早めに準備に取りかかれるようになります。ここでは、ライフプランをつくる時に、意識しておきたいポイントについて解説します。
収入と支出のバランスを把握する
自身が希望するライフイベントを迎える時期はいつになるかを時系列に書き出し、各ライフイベントに必要な資金を書き加えた表のことをライフイベント表と言います。
ライフイベント表ができたら、次に各ライフイベントが訪れる前にどのように資金を準備するかを考えるために、キャッシュフロー表を作成します。
キャッシュフロー表とは、家計の収入-支出を時系列に並べた表のことです。家計におけるキャッシュフローとは「収入-支出」で計算をします。
- 家計におけるキャッシュフロー = 収入 - 支出
キャッシュフロー表を作れば、その年に貯蓄ができているかいないかが一目で分かります。例えば、その年のキャッシュフローが黒字になれば、その年は貯蓄ができている。マイナスになれば貯蓄を取り崩していると考えることができます。
また、毎年の貯蓄残高を合計していけば、将来どれくらい貯蓄ができるか目安を把握することが可能です。
例えば、2020年が始まった時点で貯蓄残高が200万円、2020年終了時点でキャッシュフローが50万円なら、2020年終了時点での貯蓄残高が250万円となります。また、2021年のキャッシュフローがマイナス20万円なら、2021年終了時点での貯蓄残高は230万円となるわけです。
日本では年齢に応じて収入が上昇し、定年退職が近くなると減少する傾向があります。そのため、50代でキャッシュフローの黒字のピークを迎え、徐々にキャッシュフローの黒字幅が少なくなるのが一般的です。
さらに、定年退職後は公的年金が受け取れますが、公的年金の収入よりも生活費の方が多くなり、赤字のキャッシュフローの時期が続く可能性があります。

※出典:総務省の家計調査2023年「表番号4 世帯人員・世帯主の年齢階級別」より当社作成(2024年6月1日)
働き方や生き方に合わせた資金計画を立てる
ライフプランを作成すると、自身が希望するライフイベントが訪れる時期までに、資金の準備が用意できないことに気付く場合があります。
希望通りのライフイベントを迎えたいのであれば、必要資金を準備するための対策が必要です。早めに貯蓄を始める、節約をするなど早めに対策を検討しましょう。
また、近年では正社員ばかりでなく、フリーランス、副業、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトなど働き方が多様化し、どう働くかで収入や支出が大きく変わります。
結婚をしている、あるいはこれから予定しているのであれば、結婚後、両方の収入や支出を合わせたライフプランをつくる必要ががあるでしょう。
ライフプランを作成すれば、自分の働き方や生き方を取り入れながら、ライフイベントの資金が準備できるかどうか確認ができます。
老後の生活に備える
ライフイベントの中でも、最も準備が難しいのが「老後資金」です。これは公的年金を受け取り始める時期になると、現役で働いていた時のような収入を得ることが難しく、貯蓄が増やしにくいためです。
老後資金は、現役時代の早いうちから準備を始めましょう。
さらに、日本人の平均寿命は、2022年時点での男性の平均寿命が81.05歳、女性が89.09歳と年々延びています。また、90歳まで生存する人の割合は、男性25.5%、女性が49.8%であり、男女共に90歳以上生きることを前提とした資金計画が必要です。
つまり、これまで以上に多くの老後資金を準備しなければならない可能性があります。
人生の3大資金「住宅資金」「教育資金」「老後資金」はどのくらいかかる?
数あるライフイベントの中でも「住宅資金」「教育資金」「老後資金」は「人生の3大資金」と言われるほど、大きなお金がかかります。人生の3大資金は、具体的にどれくらいお金が必要なのか紹介します。
住宅資金は3,000万円台から5,000万円台が目安?
住宅資金とは、住居にかかる費用のことです。住宅金融支援機構が公表している調査によると、住宅購入に要した資金は建売住宅が3,719万円、マンションが4,848万円となっています。
したがって、立地や住宅の種類にもよりますが、住宅購入資金として準備しておきたい金額は、3,000~5,000万円台が目安です。ただし、以下のグラフからもわかるとおり、住宅購入に必要な資金は緩やかな上昇期傾向にあるため、購入する時期によっては多めに資金を用意する必要があるでしょう。

※出典:住宅金融支援機構 フラット35利用者調査を参考に当社作成(2024年6月1日)
住居を購入する場合、住宅ローンを利用するのが一般的ですが、利息がかかるため、借入額が大きいと毎月の返済額や総返済額が増えてしまいます。
頭金を多めに準備しておくと、借入額が減らせるため、毎月の返済額や総返済額も軽減できます。
また、住居を所有していれば、維持費や固定資産税がかかる他、老朽化にともないリフォームや立て替え費用もかかる点に注意が必要です。
教育資金は子ども1人につき800万円以上
子どもが大学卒業までにかかる教育費は、全て国公立の場合でも1人につき約800万円、
私立の場合で約2,200万円がかかります。また、子どもの人数や、自宅から通学するか、奨学金や教育ローンを利用するかでも変わります。
【大学卒業までにかかる教育費】
区分 | 幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 | 大学 | 大学入学料 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
高校まで公立、大学のみ国立 | 49万5,378円 | 211万5,396円 | 161万6,397円 | 153万8,913円 | 214万3,200円 | 28万2,000円 | 819万1,284円 |
全て公立 | 49万5,378円 | 211万5,396円 | 161万6,397円 | 153万8,913円 | 214万5,452円 | 39万1,305円 | 830万2,841円 |
幼稚園と大学は私立、他は公立 | 92万6,727円 | 211万5,396円 | 161万6,397円 | 153万8,913円 | 372万3,772円 | 24万5,951円 | 1,016万7,156円 |
小学校と中学校は公立、他は私立 | 92万6,727円 | 211万5,396円 | 161万6,397円 | 316万3,332円 | 372万3,772円 | 24万5,951円 | 1,179万1,575円 |
小学校だけ公立 | 49万5,378円 | 1,000万1,694円 | 430万9,059円 | 316万3,332円 | 372万3,772円 | 24万5,951円 | 2,193万9,186円 |
全て私立 | 92万6,727円 | 1,000万1,694円 | 430万9,059円 | 316万3,332円 | 372万3,772円 | 24万5,951円 | 2,237万535円 |
過去20年を振り返ると、教育費は上昇傾向にあります。特に私立大学の場合、入学料は減少傾向にあるものの、授業料が増加しています。今後も年0.5~1.0%程の上昇が続く可能性があるため、教育資金は、物価上昇率(インフレ率)を考慮して準備すると良いでしょう。
ただし教育費は全て自身で用意する必要はありません。両親から支援を受けられる可能性がある他、児童手当や就学支援制度も受けられます。児童手当の場合、第1子と第2子はそれぞれ満額で198万円、第3子以降は同252万円が支給されます。
返済の必要がない給付型奨学金の選択肢も増えているので、活用を検討してみましょう。
老後資金は数千万円以上必要
退職後は収入の大半が公的年金になることから、収入が働いている現役時代よりも減る可能性が高くなります。そのため、収入よりも支出が上回り、多くの世帯では、貯蓄を取り崩す生活が続くでしょう。
安心して老後生活を送るには、十分な貯蓄を用意しておく必要があります。老後に準備する金額は、年間生活費に退職後の年数を乗じて計算をします。
例えば、生活費が年間240万円(月20万円)、65歳で退職して90歳まで生きると想定すると必要額は「240万円×25年=6,000万円」となります。
ただし、これらを全て自身でまかなう必要はありません。公的年金や退職金で一定額まではカバーできます。また、老後も無理のない範囲で働くことで、収入を増やすことも可能です。
3大資金以外にも「お金」が関わるライフイベントがある

人生の3大資金以外にも考えておきたいライフイベントを紹介します。自身のライフプランを作成する時の参考にしてください。
就職・転職や独立したときの収入と支出のバランスを考える
就職をすると収入が得られるようになりますが、収入によって生活にかけられる金額が変わります。これまで実家で暮らしていた人が就職に伴って一人暮らしを始めれば、引っ越し代や家賃、家具・家電、食費、水道光熱費などの負担も生じるでしょう。
また、転職をすると収入に増減が生じるため、生活費の見直しや貯蓄の取り崩しが必要になるかもしれません。
このように就職や転職は、収支が大きく変動する可能性があることから、ライフイベントに含まれます。事前にどれくらい収支が変化するかシミュレーションして、対策を立てておきましょう。
結婚費用はパートナーと話し合って決めよう
結婚も結婚式や新婚旅行など、大きなお金がかかるライフイベントです。地域性もありますが、300~400万円程度の費用は見ておいた方が良いでしょう。
さらに、新居の準備費用や新生活に必要なお金の他、人によっては子どもが生まれた時の入院料や検査料、その後の教育費も視野に入れておく必要があります。
結婚や子どもに関する費用については、パートナーと考え方が異なる場合があるため、十分話し合って決めることが大切です。
その他のお金がかかるタイミングを考えてみよう
人生の3大資金や結婚資金の他、自動車購入や旅行など、さまざまなタイミングでお金がかかることがあります。
また、老朽化による自宅のリフォーム代や、介護費用など、若いうちはイメージが湧きにくく、見落としがちなライフイベントです。
その他、病気やケガ、失業など緊急時の資金も確保しておくと良いでしょう。
ライフプランは状況や価値観によって変わってくる
ライフイベントにかかる費用は、価値観によって異なります。例えば、結婚式は「海外旅行で家族や仲の良い友だちだけ呼んで行いたい」「たくさんの人を呼んで盛大に行いたい」など価値観によって異なるでしょう。
住居についても「賃貸暮らしで気軽に引っ越せるようにしておきたい」「自分の家は持っておきたい」などの考え方があります。
また、「正規雇用か非正規雇用か」「独身か既婚か」などその時におかれている状況も、ライフイベントの考え方に影響を与えます。
結果的に本人が置かれている状況や、価値観が変わればライフプランも変わるため、定期的に見直しが必要です。
ライフプランは自分のやりたいことを具体化し、実行の後押しをしてくれます。自分の人生や将来についての思いを巡らせる良い機会として、積極的に活用してください。
自分の希望を叶えるためのライフプランを描いてみよう!

ライフプランは自身の家計の状況を把握し、将来のライフイベントに必要な資金計画を立てる時に役立ちます。特に住宅資金、教育資金、老後資金といった人生の3大資金は大きなお金がかかるため、早めにライフプランを立てて、長期的な視点で準備に取りかかりましょう。
ただし、ライフプランは個人の状況や価値観で大きく変わるため、定期的に見直すことも大切です。