詐欺的な投資勧誘により、被害に遭う人が後を絶ちません。こうした投資詐欺は、とりわけSNSやセミナー、マッチングアプリなどがきっかけになっている傾向があります。
詐欺的な勧誘業者は「必ず儲かる」「元本は保証する」などのうたい文句で、投資話を持ち掛けてきます。しかし、実際には元本が戻ってこなかったり、投資資金を提供した業者と連絡がつかなくなったりするなど、トラブルに繋がるケースも多いため注意が必要です。
本記事では、投資詐欺の良くある手口や騙されないための注意点などを解説します。
目次
- 詐欺的な投資勧誘の相談は後を絶たない
- あなたは大丈夫?投資詐欺のよくある手口を知ろう
- 投資詐欺に騙されないために注意すべきポイントを解説
- 「自分は騙されない」と思わずに、うまい投資話には十分注意する
詐欺的な投資勧誘の相談は後を絶たない
金融庁によると、「元本を保証します」「必ず儲かります」など、詐欺的な投資勧誘の相談が多く寄せられています。
また、SNS上のつながりから投資話を持ちかけられたり、知人から投資セミナーの勧誘を受けたりするケースもあります。こうした詐欺的な投資勧誘から、実際の被害に繋がるケースもあるため注意が必要です。
2023年7月1日から2023年9月30日の3ヶ月間で、詐欺的な投資勧誘に関する相談は1,918件。うち1,598件が被害に遭っています。つまり、相談した人の約8割が実際に被害に遭っていることになります。
【詐欺的な投資勧誘に関する情報の受付状況】

あなたは大丈夫?投資詐欺のよくある手口を知ろう
「自分だけは投資詐欺に遭う心配はない」と思っていませんか。投資詐欺は公的機関を名乗ったり、複数人で騙したりと手口が巧妙になっているため注意が必要です。ここでは、よくある投資詐欺のトラブルについて紹介します。
公的機関を装って相手を信用させて騙す手口
金融庁など公的機関を名乗り、信頼できる商品やイベントのように装う詐欺的な投資勧誘があります。また、ロゴやシンボルマークをホームページから不正利用し、あたかも公的機関がお墨付きを与えたかのように誤認させたり、金融庁の職員を名乗って投資勧誘を行ったりするケースもあります。
しかし、金融庁が営利目的の商品やイベントを後援・協賛することはありません。
また、イベント主催者が金融庁の登録を受けた金融商品取引業者などであったとしても、全ての行為を認めているとは限りません。
仮に詐欺的な投資勧誘を受けた時は、金融庁の金融サービス利用者相談室や証券取引等監視委員会の情報提供窓口に情報提供の上、最寄りの警察に相談しましょう。
複数人で役を演じて相手を騙す劇場型詐欺の手口
劇場型詐欺とは、複数人がぞれぞれ契約を勧める役、投資話を信用させる役、買い取りをする役など別々の登場人物を演じて、詐欺を行う手口のことです。
例えば、ある消費者にA社がC社の未公開株を勧めた直後に、今度はこの消費者にB社が「C社の未公開株を購入したいが購入資格がないため、後日、高値で買い取るので代わりに購入してほしい」という連絡をします。
この場合、消費者はA社とB社が注目しているのならC社の未公開株は「本当に有望なのかもしれない」と誤認してしまう可能性があります。
劇場型詐欺は、未公開株の他、社債や権利の取引に関するトラブル事例も多いため注意が必要です。
また、警察や税務署職員などの公的機関の職員を装い、「あなたは詐欺の被害にあっているかもしれない」など虚偽の情報提供を行う手口もあります。
未公開株の話を持ち掛けてお金を騙し取る手口
近年、新規公開株が注目されていることに着目し、上場する予定がないのに上場予定と偽って未公開株への投資を勧誘する手口です。
「近い将来上場するので必ず値上がりする」「今のうちに購入した方が良い」などと持ちかけ、未公開株の購入を勧めてきます。しかし、「実際には値上がりしなかった」「株券が届かなかった」などのトラブルが報告されています。また、買付代金を支払ったあと業者と連絡がとれなくなるケースもあります。
暗号資産への投資話で多額の資金を騙し取る手口
海外の取引所で暗号資産への投資を勧められたものの、「資金が戻ってこない」あるいは「出金できなくなり、結果的に多額の資金をだまし取られてしまう」などの詐欺事例です。SNSやマッチングアプリを通じて知り合い、勧誘されるケースが多く見られます。
利益が出たので出金しようとしても、保証料や出金手数料など追加で費用を請求されたり、そもそも海外取引所のサイト自体が偽物で、勧誘者と連絡が取れなかったりするケースもあります。
始めたばかりのころは少額投資で利益が出ているように見せて安心させ、大きなお金を振り込ませたあと紹介者が音信不通になるケースもあるので注意が必要です。
騙された人をさらに騙す被害回復型詐欺の手口
詐欺にあった被害者に「被害額を取り戻せる」などと持ち掛けて、金銭をさらに騙し取ろうとする手口です。
例えば、「未公開株に投資した資金を取り戻せるが、保証金が必要」などと言って、追加でお金を振り込ませます。もちろん詐欺であれば、お金を振り込んでも被害額は取り返せません。
弁護士など専門家を名乗り、被害回復のために手数料を求めてくるケースもあります。
投資詐欺に騙されないために注意すべきポイントを解説

投資詐欺の手口はさまざまなので、見抜くことが難しいと感じるかもしれません。ここでは、投資詐欺に騙されないために、勧誘者が詐欺業者であるか否かを見抜くポイントを解説します。
必ず儲かるかのように勧誘してくる場合は詐欺の可能性が高い
株式や債券、投資信託といった金融商品は、市場動向で元本割れするリスクがあります。そのため、「元本保証」「必ず儲かる」「リスクゼロ」などと言って持ちかけられた投資話は、詐欺である可能性が高いでしょう。
また、株式や債券、投資信託を取り扱っている証券会社や投資信託委託会社などは、「金融商品取引業者」として金融庁に申請・登録を受けなければなりません。
金融商品取引業の登録を受けた業者は「必ず儲かる」などと断定したり、そう思わせる表現で購入を誘ったりする「断定的判断の提供」を金融商品取引法により禁止されています。
知らない業者に勧誘された場合は実在する業者か確認する
投資性のある金融商品を扱うには、金融商品取引業者の登録を受けなければなりません。金融商品取引業の登録を受けている業者は金融庁のホームページで確認できるため、知らない業者から勧誘された場合は、実在する金融商品取引業者か必ず確認しましょう。
また、国内で暗号資産と法定通貨との交換サービスをするには、「暗号資産交換業」の登録が必要です。暗号資産を勧められた時も、暗号資産交換業登録を受けているかどうか金融庁のホームページで確認しましょう。
仮に、金融商品や暗号資産の売買を勧誘してきた業者が、金融商品取引業者あるいは暗号資産交換業者として未登録の場合、詐欺業者の可能性があります。
公的機関を名乗っている場合は自分で連絡先を調べて問い合わせる
投資詐欺は、金融庁など公的機関を名乗って消費者に安心感を与え、商品やサービスの勧誘を行う場合があります。
しかし、基本的に金融庁などの公的機関が、営利目的の投資セミナーやイベントを後援することはありません。
公的機関を名乗って勧誘をしてくる時は、自分で連絡先を調べて問い合わせてみましょう。チラシや名刺など相手から提示された連絡先に問い合わせても、詐欺業者につながる可能性が高いため、自身で連絡先を調べて問い合わせることが大切です。
未公開株や私募債などを勧誘されたら自分で確認する
一般の個人投資家などを対象に、幅広く未公開株や私募債の勧誘が行われることは考えられません。
こうした投資話を持ちかけられたら、勧誘を受けた業者が実在しているのか、また金融庁に登録しているかを必ず確認しましょう。
投資話を持ちかけた業者から紹介されたURLでは、詐欺業者のサイトが表示される可能性があるため、自身でインターネット検索をして調べることが大切です。
よく知らない人からの勧誘は特に注意する
SNSや出会い系サイト、マッチングアプリ経由で知り合った人から投資話を持ちかけられても、そもそも勧誘目的で登録している可能性があるため安易に信用してはいけません。
複数の業者が同じような投資話を持ちかけてくる時も、複数人が口裏合わせして勧誘する劇場型詐欺の可能性があります。
少しでも怪しいと思ったら、周囲に相談してみましょう。
「自分は騙されない」と思わずに、うまい投資話には十分注意する

「自分は騙されない」という気持ちは、油断につながります。よくある事例を知っておくだけでも、投資詐欺に遭うリスクは抑えられるでしょう。また、投資にはリスクがあります。「必ず儲かる」「元本保証」という言葉で投資の勧誘を受けたら、詐欺業者である可能性があります。
公的機関の名称を語っていても安易に信用せず、自身で勧誘してきた業者について調べることが大切です。不安な時は、周囲の人や専門家に相談してみましょう。