将来のお金が不安だけど、貯金ができないという人は、家計管理を心がけてみましょう。
本記事では、家計管理の必要性や、家計管理をする上で知っておきたいポイントや注意点について解説します。
目次
- 家計管理はなぜ必要
- 家計管理をする上で知るべきこと
- 家計管理をするポイント
- 家計管理をする上で注意すべきこと
- さっそく取り組んでみよう
家計管理はなぜ必要
家計管理は豊かな生活を送るための第一歩です。将来、教育資金や老後資金、住宅資金など多くのまとまったお金がかかる時期が訪れるかもしれません。こうした大きなお金のかかるタイミングのことを「ライフイベント」と言います。
上記のようなライフイベントが到来したタイミングで、必要な準備ができていないと、思い描いていたことが実現できなくなるかもしれません。
また家計管理をせずにどんぶり勘定でやりくりをしていると、つい知らないうちにお金を使ってしまい、なぜか貯金ができない状況に陥ってしまいます。
家計管理をすることで余計な支出が減り、家計を安定させられるでしょう。またいくら貯蓄に回せるかが把握できるため、将来のライフイベントに向けて計画的に準備ができるようになります。
家計管理をする上で知るべきこと

家計管理をするためには、まず給料の手取り額を把握することから始めます。次に平均的な生活費と比較して、自身の家計が使い過ぎているのか、節約をできているのかを確認しましょう。
また毎月の手取り額の中から、将来必要になる貯蓄額も準備しなければなりません。どのくらい貯蓄があれば良いか知るためには、今と将来でどのような生活を送りたいかも考える必要があります。
給料の手取り収入を把握する
家計管理をするためには、月収(年収)と手取り収入を把握する必要があります。例えば、月収25万円だったとしても、会社員や公務員はそこから社会保険料や所得税・住民税などが月収から差し引かれるため、毎月25万円全額が自由に使えるわけではありません。
例えば月収37万5,000円の人の場合、社会保険料と税額を引いて、手取り額は29万2,868円となります。
【月収37万5,000円(年収450万円)令和6年・東京都在住・一般事業・40歳未満の方の場合】

※出典:動画で学ぶお金の知恵「マネビタ」の資料より当社にて作成(2024年6月1日)
さらに月収が高くなるほど、収入と手取り額の差が大きくなります。仮に年収700~800万円であれば、手取り額の目安は約526~590万円です。
手取り収入ではなく月収をベースに生活費や娯楽費などを計算してしまうと、毎月の収支が0円になったり、マイナスになったりするおそれがあります。
配偶者や子どもの有無などでも手取り額が変わるため、自分の場合何がいくら引かれているのか、給与明細などで確認しましょう。
またゆとりがある人ほど、手取り収入が把握できていない傾向があります。
国税庁令和4年分民間給与実態統計調査によると、給与所得者1人当たりの平均給与は458万円で、年収500万円あれば概ねゆとりがある人に該当するので注意が必要です。
平均的な生活費を知る
平均的な生活費を知っておくと、自身が使い過ぎているかどうかがある程度把握できるようになります。家族構成やライフスタイル、持ち家や住宅ローンの有無などによって必要な生活費は変わってくるので、必ずしも平均値が自身の家庭に適した金額とは限りませんが、支出を見直す際の参考情報として知っておくと効果的です。
主な生活費の項目としては、食費・住居費・水道光熱費・車両費・通信費・教養娯楽費などが挙げられます。
総務省「2023年家計調査[家計収支編]」によると、毎月の生活費の平均は、二人以上世帯で約29万円、単身世帯で約16万円となっています。
二人以上の世帯 | 単身世帯 | |
---|---|---|
消費支出 | 29万3,997円 | 16万7,620円 |
食料 | 8万6,554円 | 4万6,391円 |
住居※ | 1万8,013円 | 2万3,815円 |
光熱・水道 | 2万3,855円 | 1万3,045円 |
家具・家事用品 | 1万2,375円 | 5,955円 |
被服および履物 | 9,644円 | 4,712円 |
保健医療 | 1万4,728円 | 7,426円 |
交通・通信 | 4万2,838円 | 2万1,796円 |
教育※ | 1万448円 | ー |
教養娯楽 | 2万9,765円 | 1万9,425円 |
その他の消費支出 | 4万5,777円 | 2万5,051円 |
※住居費には住宅ローンの支払いは含まれません。また、住居の金額は持ち家の人を含めた金額であるため、賃貸の世帯の平均金額は記載額よりも大きくなります。
※単身世帯の教育費は支出金額がほぼないため記載していません。
貯蓄額を把握する
自分が準備しておきたい生活予備資金に対して、どれくらい貯蓄できているか把握しましょう。生活予備資金とは、緊急の支出や、近い将来に訪れるライフイベントのための資金のことです。
生活予備資金が準備できていなければ、万が一の時に貯蓄を取り崩したり、理想とするライフイベントをあきらめたりしなければなりません。
仮に借金がある場合は、現時点で準備できている貯蓄額から、さらに借金の分を差し引く必要があります。ただし住宅ローンは住宅費に計上するため、借金に含みません。
また今後、資産運用やスキルアップのための資格取得など、自身に起こりうるライフイベントのためのお金なども計算して、できれば早めに準備に取り掛かりましょう。
どんな生活を送りたいのかを考える
手取り収入と平均的な生活費、貯蓄を確認した上で、今と将来でどんな生活を送りたいのかを考えていきましょう。
「老後はゆとりある生活を送りたい」「旅行にたくさん行きたい」「老後は最低限の暮らしができれば良い」など、理想の生活を送るために、どれくらいの貯蓄が必要か計算できれば、今何をすれば良いかが見えてきます。
将来の必要額が分からないまま漠然と節約をしている状態では、どんなに節約をしても不安はなくならないでしょう。
一方、将来、必要な金額の目安だけでも把握しておけば、今、闇雲に節約をする必要がないことに気付くかもしれません。
そうなると洋服には関心がないけれど食にはこだわりたい。美容に妥協したくないので、その代わり交通費を抑える、スポーツ観戦が人生の楽しみなので、それ以外にはお金をかけたくないなど、支出に優先順位がつけられるようになります。
将来どんな生活を送りたいのかを意識して家計管理をすれば、今をできる範囲で楽しみながら、将来のお金の準備もできるようになるでしょう。
家計管理をするポイント
家計管理をして上手に貯蓄を準備するにはどうしたら良いのでしょうか?ポイントを4つ紹介します。
「必要なこと」と「ほしいもの・やりたいこと」を分ける
毎月の手取り収入から貯蓄が残らないという人は、まず支出に優先順位をつける必要があります。優先順位をつけるのが難しい時は、最初に光熱費や通信費といった生活をしていく上で「必要なもの・こと」と、趣味や資格など自分の生活を豊かにするために「ほしいもの・やりたいこと」に分けてみましょう。
「必要なもの・こと」はこの時点ではまだ見直さず、次に「ほしいもの・やりたいこと」の中で優先順位をつけていきます。収入を増やせるなら「ほしいもの・やりたいこと」を見直す必要はありませんが、難しければ削れるものがないか検討していく必要があります。
「ほしいもの・やりたいこと」を見直しても、思ったように貯蓄が残らないときは、「必要なもの・こと」に関する支出を見直していきましょう。
固定費を見直す
固定費とは支出のうち、住居費、通信費、保険料、駐車場代、サブスクなど毎月のようにほぼ定額でかかる支出のことを指します。
固定費は一度見直すと、それ以降は何もしなくても見直し効果が継続するため効果的です。
まずは毎月かかっている固定費を洗い出して、削れるものや半年間ほとんど使っていないものを解約するなどの検討をしてみましょう。
金額の大きな項目や、減らしても生活に困らないものといった観点で優先順位をつけてみるのもおすすめです。
具体的な固定費の見直し例を紹介します。
固定費 | 見直しの一例 |
---|---|
住宅ローン※ | 「期間短縮型」の繰り上げ返済をして利息を含めた総返済額が100万円減った 「返済額軽減型」の繰り上げ返済をして、毎月の返済額が3,000円減った |
生活用品 | 使い捨てコンタクトレンズ代を安くして、月1000円程度下げられた |
生命保険 | 定期保険特約付きの保険を、収入保障保険に見直して、保険料が月3,000円安くなった |
サブスク | ほとんど利用していない月額制の動画視聴サービスのプランを解約し、月約1,500円安くなった |
スマートフォン | 格安スマホに見直し、毎月の通信料が月5,000円下がった |
銀行口座を分ける
生活費や老後資金、教育資金などを全て1つの銀行口座で管理していると、老後資金や教育資金がどれだけ準備できているかが分かりにくくなります。また他の用途に転用しやすいため、つい使ってしまい、気が付いたら老後資金が準備できていなかったということも起こり得ます。
家計管理をする時は、銀行口座を「生活費用」「老後資金用」「教育資金用」のように分けておくと、最初の口座開設をする手続きが負担になりますが、その後、貯蓄額の把握が容易になります。
生活費はいつでも引き出せる「普通預金」、必要になる時期がある程度決まっている教育資金は「定期預金」や「積立預金」、老後資金は税金の軽減効果が大きい「iDeCo口座」など使い分けても良いでしょう。ちなみにiDeCo口座は銀行口座とは異なり、運営管理機関にあたる金融機関・証券会社・保険会社から選んで開設する必要があります。
先取り貯蓄をする
貯蓄と言えば、毎月の手取り収入から、生活費や日用品費、趣味などの支出を差し引いた金額を貯める方法が一般的です。
しかしより確実に目標額を貯めたい時は、先取り貯蓄を活用してみましょう。
先取り貯蓄とは、毎月の手取り収入から、まず貯金をしたいお金を差し引いて、残った金額で生活費や趣味などの費用をやりくりする方法です。
例えば毎月の手取り収入20万円で、そのうち2万円を貯蓄したいと思ったとします。
一般的には生活費を18万円に抑えて、残った2万円を貯蓄しようとするでしょう。しかし先取り貯蓄は毎月の手取り額から、まず2万円を貯蓄に回し、残った18万円でやりくりをします。
一般的な貯蓄では、生活費をつい使い過ぎてしまい、思ったように毎月貯められない可能性がありますが、先取り貯金なら、まず手取り収入から貯金をするため確実に目標額を貯められます。
さらに先取り貯蓄は「仕組み化」をしておくと、よりお金が貯まりやすくなります。
先取り貯蓄の仕組み化とは、毎月給料が振り込まれる口座からすぐに貯蓄用口座に振り替えられるように設定しておくことです。貯蓄用口座は預貯金でも良いですが、家計の状況次第では、株式や投資信託の活用を検討しても良いでしょう。
毎月の収入と食費、交通費などの各種支出を入力すると、毎月どれくらい残るのかシミュレーションできるサイトもあるため、いくら貯蓄に回せるか知りたい人は活用してみてください。
家計管理をする上で注意すべきこと

家計管理を徹底すれば、貯蓄が貯まりやすくなるでしょう。しかし家計管理を徹底しすぎると、ストレスを感じたり、自己成長する機会を失ったりするなどの弊害があります。以下、家計管理をする上で注意すべきことを解説します。
何でもかんでも節約しようとしない
節約しようと意識し過ぎるあまり、大切な趣味や娯楽を犠牲にすると味気ない生活になってしまいます。かえってストレスが溜まってしまい、節約が長続きしないかもしれません。
家計管理は、今や将来にゆとりを持つために行うものです。何でもかんでも節約するものではなく、優先順位を付けて、自身にとって順位が低いと考える支出から抑えるよう心がけましょう。
将来への自己投資にはお金を使う
貯蓄を増やす方法は、節約ばかりではありません。収入をアップさせれば、貯蓄額を増やしやすくなるでしょう。
毎月の手取り収入の一部を、資格取得やセミナー参加など自己投資に回すことで、スキルアップ、キャリアアップに繋がり収入アップが期待できます。
また株式や投資信託といった金融商品への投資も、将来的に資産の増加に繋がる可能性があるため、活用してみても良いでしょう。
ただし自己投資も、金融資産への投資も目的があいまいな状態では挫折してしまい、お金の無駄になってしまうおそれがあります。自己投資を始める時は「何のために資格取得をするのか」「何のために投資信託を始めるのか」など目的を明確にしましょう。
さっそく取り組んでみよう
家計管理には、本記事で紹介した「収支を把握する」「支出を最適化する」「銀行口座を分けて先取り貯蓄」の3つの方法に取り組むことが大切です。
家計管理や貯蓄の必要性を感じたら、いきなり全てを把握することは難しいかもしれませんが、まずは「実際の手取り収入はいくらなのか」「趣味娯楽費はどのくらい消費しているだう」など、確認してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。