ウェルスナビ株式会社 フィデューシャリー・デューティー(FD)宣言
ウェルスナビ株式会社は、誰もが安心して気軽に利用できる資産運用サービスを生み出し、働く世代が豊かさを実感できる社会を築くという理念に基づき、2015年4月に設立されました。
その背景には、働く世代にとって資産運用が大切な時代となっているという課題認識があります。
厚生労働省の統計によれば、退職金の額は年間2.5%のペースで減少しており、仮にこのペースが続けば、老後の生活を退職金に頼ることは難しくなります。また、少子高齢化によって、働く世代を中心に年金不安も広がっています。このため、働きながら資産運用を行うことが大切な時代となっています。これは、決して未来の話ではなく、私たち働く世代一人ひとりがすでに直面している現実です。
(注)厚生労働省「就労条件総合調査」。大卒、大企業、定年退職の場合の過去10年間の推移。
このような社会的な課題を解決するために、ウェルスナビ株式会社は、誰でも安心して気軽に利用できる資産運用サービスを提供していきます。
元本が保証されている預貯金とは異なり、資産運用においては、時々刻々と変化する経済や金融市場の不確実性(リスク)に対応しなければなりません。そして、運や勘に頼るのではなく、ノーベル賞を受賞した金融理論などの蓄積を踏まえた科学的なアプローチを用いることで、不確実性(リスク)をコントロールしながら、効率的な資産運用を行うことが可能です。
このような、人間の主観を排除した客観的な理論に基づく運用を行うためには高度な専門知識と冷静な判断が必要です。また、そのような資産運用サービスを提供する専門家は、言わば、医者や弁護士のような立場であり、高度な倫理性が必要であると考えています。
このため、私たちは、金融およびテクノロジーの専門家として、お客様の利益と利便性を最優先するという理念のもと、最先端の資産運用サービスの開発と展開に取り組んできました。2016年7月に、長期・分散・積立による資産運用の全プロセスを自動化する「WealthNavi(ウェルスナビ)」を正式リリースしました。そして、2017年5月には、おつりで資産運用ができるアプリ「マメタス」を提供開始しています。
「WealthNavi(ウェルスナビ)」は、正式リリースから9ヶ月あまりの2017年4月末までに、1万8,000件を超えるお申込みを頂き、預かり資産も100億円に到達しました。「WealthNavi(ウェルスナビ)」がこれほど急速に普及しつつある背景には、創業当初より、暗黙のうちにフィデューシャリー・デューティーを意識して実践してきたことが、資産運用に真剣に悩んでいる方々に評価されたことがあると考えています。
そこで、さらなる事業発展を控えた今日、創業の原点にあらためて立ち返り、これまで暗黙のうちに実践したきたことを5つの行動規範という形で明文化し、フィデューシャリー・デューティー(FD)として宣言します。
- 行動規範1: 私たちは、お客様の長期的な利益と利便性を最優先します。
- 行動規範2: 私たちは、お客様が負担する手数料を分かりやすく説明します。
- 行動規範3: 私たちは、重要な情報をガラス張りにし、分かりやすく説明します。
- 行動規範4: 私たちは、お客様一人ひとりにとって最適な資産運用をサポートします。
- 行動規範5: 私たちは、お客様の利益を、当然に最優先するチームであり続けます。
今後、当社の事業の発展に応じて行動規範の内容を定期的に見直すとともに、具体的な取り組み状況についても定期的に公表していきます。
行動規範 1
私たちは、お客様の長期的な利益と利便性を最優先します。
具体的な取り組み
当社は、お客様の利益と当社の利益の方向性を一致させるために、預かり資産額のみに連動した手数料としています。このため、お客様の資産額が増加した際には金融機関としての当社の収益も増加し、逆に、お客様の資産額が減少した場合には金融機関としての当社の収益も減少して痛みを分かちあうこととなります。
また、当社は、お客様のポートフォリオを構成する金融商品の推奨・選定を客観的な基準に基づいて行います。このような目的を達成するため、金融商品を組成・運用・販売する資産運用会社とは契約関係を結ばず、あくまでもお客様の代理人として、上場投資信託(ETF)を証券取引所で売買しています。
資産運用のアルゴリズムを構築・運用する際には、あくまでも中長期的なリターンを最大化することを目的としています。当社は、中長期的なリターンを犠牲にして、短期的なリターンを高めるようなことは行いません。
また、当社は「モノづくりができる金融機関」として、サービス機能の安定性、セキュリティなどの改善に継続的に取り組んでいます。そして、忙しく働く方でも安心して長期・積立・分散による資産運用を行えるよう、可能な限り自動化され、直感的に利用できる、利便性の高いサービス作りを続けていきます。私たちは、お客様から頂戴した手数料を、このような形でお客様に還元していきます。
行動規範 2
私たちは、お客様が負担する手数料を分かりやすく説明します。
具体的な取り組み
当社がお客様から頂戴する手数料は、原則として、預かり資産額のみに連動しており、フェアでシンプルな手数料体系を実現しています。為替手数料、為替スプレッド、上場投資信託(ETF)の売買手数料、リバランス手数料など、証券取引に関する手数料はすべてゼロとしています。
(注:振り込み入金の場合には、ご利用の銀行が定める手数料がかかります。)
また、上場投資信託(ETF)の価格に内包される形でお客様が間接的に負担している経費については、上場投資信託(ETF)の運用会社が開示している情報に基づいて当社において概算額を計算し、ホームページ上で公表しています(2017年4月現在、預かり資産の0.11-0.14%)。
こうした、お客様が直接的・間接的に負担しているコストについては、当社のホームページ上で、目につきやすい形で、わかりやすく説明しています。
行動規範 3
私たちは、重要な情報をガラス張りにし、分かりやすく説明します。
具体的な取り組み
「WealthNavi(ウェルスナビ)」では、忙しく働く方でも利用できるよう、資産運用の全プロセスを自動化しています。このような自動でお任せの資産運用サービスを安心してご利用頂くためには、リスク・リターンの関係や、元本割れのリスク、資産運用プロセスといった、重要な情報をガラス張りにし、透明性を確保することが不可欠であると考えています。
「WeathNavi(ウェルスナビ)」では、人間の主観を排除した客観的なアルゴリズムに基づき、将来のリターンの予測を直感的に理解できるようにビジュアルに表示しています。その際には、平均的なケースのリターンのみを示すのではなく、リターンが上振れするケースや下振れするケースについても表示しています。
さらに、「100年に1度」とも言われたリーマンショックのような最悪の状況においてお客様の資産がどれほど目減りし、どのように回復していくのかも、ボタン一つでガラス張りにして表示される仕組みしています。このような最も不都合なケースを含めて情報を開示することは、長期的な資産運用をサポートする観点から、極めて重要であると考えています。
さらに、当社では、「WealthNavi(ウェルスナビ)」の資産運用アルゴリズムのホワイトペーパーを日本ではじめて公表しました。ホワイトペーパーでは、資産運用の合理的なプロセスの全体像を説明した上で、資産配分の決定、客観的な基準による銘柄選択、お客様一人ひとりのリスク許容度診断、自動リバランスなどの仕組みについて、具体的に説明しています。
行動規範 4
私たちは、お客様一人ひとりにとって最適な資産運用をサポートします。
具体的な取り組み
当社は、お客様一人ひとりにとって最適な資産運用をサポートするため、お客様の年齢や資産運用の目的、年収などの質問を通じてリスク許容度を診断した上で、お客様一人ひとりの最適なポートフォリオを提案しています。
また、資産運用を開始した後も、毎日、お客様一人ひとりのポートフォリオの状況を無人・自動でモニターしており、入出金や積立、分配金、などに応じて、必要があれば、お客様一人ひとりにとって最適と判断された取引を実行しています。
さらに、「長期・積立・分散」による資産運用の仕組みやメリット・デメリット、リーマンショックのような金融危機にどのように対応するべきか、為替リスクなどをどのように管理するべきかなどについて、ホームページ上で説明を行っています。また、こうした内容について、原則として毎月、セミナーを開催し、お客様に対して直接説明する機会を設けています。
なお、「WealthNavi(ウェルスナビ)」は働く世代の資産運用をサポートするために設計されていますが、ご高齢のお客様よりお申込みを頂くこともあります。一定の年齢を超えるお客様より口座開設のお申込みを頂いた場合には、原則として、一人ひとりに個別にご連絡し、長期の資産運用サービスであることや、元本割れリスクのあること等を説明しています。所定の審査の結果、口座開設をお断りするケースもあります。
行動規範 5
私たちは、お客様の利益を、当然に最優先するチームであり続けます。
具体的な取り組み
当社は、お客様の長期的な利益が最大化されるような金融サービスを提供することが事業の拡大と成功につながり、それが当社の株主や従業員をはじめとするステークホルダーの利益も最大化し、ひいては社会全体の発展につながると信じています。
このため、お客様の長期的な利益が当然に最大化されていくようなチーム作りやガバナンス整備に取り組んでおり、今後もそのような取り組みを強化・継続していくことを約束します。
具体的には、例えば、預かり資産の額といった経営目標とは別に、地味で地道な努力を通じてお客様によりよいサービスを提供していくこと等を当社の中核的なバリューの一つと位置付け、バリューを体現した社員を表彰しています。今後は人事評価にも反映させていく方針です。
また、外部専門家によるチェック体制を通じてガバナンスを強化することを目的として、「WealthNavi(ウェルスナビ)」の正式リリースに先立つ2016年3月に会社法上の会計監査人を自発的に選任しました。さらに、監査法人から、顧客資産の分別管理の法令遵守に関する検証や、システム監査を定期的に受けています。
以上
2017年6月23日制定