個別株などで短期売買のご経験がある方から、「WealthNaviは本当に持ち続けるだけでいいんですか」「タイミングを見て売買したほうがいいのでは?」とご質問いただくことがあります。
「長期・積立・分散」の資産運用では、頻繁に売買を繰り返すのではなく、10年、20年と持ち続けることが大切です。とはいえ、もっと売買したほうがもっと高いリターンが得られるのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。
短期売買は長期投資に勝てた?
そこで、過去にWealthNaviの推奨するポートフォリオ(資産の組み合わせ)で資産運用を25年間ずっと続けた場合と、短期で売買した場合のシミュレーションを比較してみました。
前提条件は以下の通りです。
- 投資対象は、WealthNaviのリスク中程度のポートフォリオ(株式や金、不動産など世界約50カ国1万2000銘柄(2022年3月時点)が実質的な投資対象)※1
- 投資期間は、1992年1月末から2017年1月末までの25年間
- 「長期投資」と「短期売買」として次の2つの投資方法を比較する
長期投資:25年間ずっと投資し続ける(ポートフォリオを保有し続け、毎月の積立額を追加で投資する)
短期売買:毎月末にそれから1カ月「投資する(資産の全額を投資する)」か「投資しない(資産の全額を現金で持っておく)」かを選ぶ(長期投資は1ケースのみだが、短期売買ではどの月に投資するかによって多数のケースがありうる) - コストとして、ポートフォリオを保有している期間のみ年率1%(税込1.1%、ただし消費税率は時期により適用される税率を適用)を控除する。購入や売却にはコストがかからないものとする。税金は考慮しない
まずは長期投資のケースです。資産を保有し続けた結果、25年後の資産は2457万円と、元本の約2.4倍になりました。
次に短期売買です。ひと月だけ投資をしてあとはずっと現金で持っておくようなケースもあれば、ひと月ごとに売買するケースもあります。すべてのケース(※2)の中からランダムに10万通りを抽出して比べると、25年後の資産額が長期投資の2457万円に勝ったケースは3%、負けたケースが97%となりました。
短期売買の97%が長期投資に負けた
25年間の資産運用において、短期売買が長期投資に勝ったケースと負けたケース
さらに詳しく見るために、運用後の資産額の分布を示したのが次のグラフです。負けた97%の内訳を見ると、平均で900万円程度負けていることがわかります。
平均900万円程度負けている
1カ月ごとに投資するか現金で持つか選びながら25年間運用したときの資産額の分布
(注)25年間の積立投資(当初100万円、その後は毎月3万円)において、1992年1月から2016年12月までの毎月末に、それから1カ月「投資する」か「投資しない(現金で保有)」かをランダムに決めたときの2017年1月の資産額を10万通り計算し、ヒストグラムにしたもの。投資しない期間はリターン0%として計算
なぜこれだけの差がついたのでしょうか。
この25年の間には、リターンがプラスの年もマイナスの年もありましたが、平均すると1年あたり約6%のリターンが得られていました。
つまり、短期売買において「投資しない」という選択をした期間は、平均年6%のリターンを得る機会を逃がしていたことになります。短期売買でもうまくいったケースでは長期投資に勝つことができましたが、相場を読むことはプロでも難しいと言われており、手堅く資産を増やすことを狙うなら、長期投資が合理的な選択と考えられます。
世界経済が生む利益を着実に得る
WealthNaviは世界約50カ国1万2000銘柄(2022年3月時点)への分散投資によって、世界経済の成長の恩恵を着実に得ることを狙っています。
株などの価格は短期的には上下を繰り返しますが、長期で見ると世界経済の成長とともに今後も伸びることが期待できます。つまり投資し続けることで、中長期的にリターンが得られる可能性が高くなります。
世界に分散するポートフォリオ(資産の組み合わせ)で短期売買を行うと、予測が当たると大きく儲かる可能性がありますが、予測が外れるといくら世界経済が成長していても損をすることになります。
世界への分散投資では持ち続けるのが正解
短期売買と長期投資のリターンのとらえ方(イメージ図)
世界全体に投資するときは、タイミングをはかって売買するのではなく、じっくりと腰を据えて取り組んでいくことをおすすめします。
- 2017年4月のWealthNaviのリスク許容度3のポートフォリオに投資したとして試算。米国株(VTI) 30.6%、日欧株(VEA) 21.5%、新興国株(VWO) 5.0%、米国債券(AGG) 29.1%、金(GLD) 8.8%、不動産(IYR) 5.0%。
- 1992年1月から2017年1月までの300か月について、1か月ごとに「投資する」か「投資しない」のどちらかを選ぶため、全部で2の300乗通りのケースがある。
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