はじめに
前回は、米国株価は2008年からの3年間でリーマン・ショックによる暴落を経て元の水準に戻っただけだったのに対して、毎月ドルで一定額の積立投資をしていた場合には資産の評価額が投資額の累計より23.5%増えていたことを確認しました。 また、円建ての場合は、株価は3年間では元の水準まで戻らなかったものの、積立投資では8.5%増えていたことも確認しました。 積立投資の場合には、株価が下落するとそれまでよりも割安に購入することになるため、株価が元の水準に戻るだけでもリターンがプラスになる、ということでした。
それに対し読者の方から「その後も積立投資を続けていたらどうなっていたのか」というご質問をいただいたので、今回は、積立投資をずっと続けていた場合のパフォーマンスについて確認します。
1 2008年からの株価推移と積立投資のパフォーマンス

まず、2008年からの米国株価の推移を確認してみます。米国株価はリーマン・ショックにより暴落しましたがV字回復し、2011年の初めには暴落前の水準を回復、その後も引き続き上昇しました(図表1)。

次に、2008年1月から2016年5月までの毎月末に500ドルずつS&P500指数(配当込)に積立投資をしていた場合のパフォーマンスを試算すると、最終的な評価額は投資額の累計より69.2%増えるという結果になりました(図表2)。
2 円建ての場合
では、円建てではどうだったのでしょうか。 リーマンショック後に1ドル100円を下回る円高が5年程度続いたことで、円建てで見た米国株価が暴落前の水準を回復したのは2013年の初めと、ドル建ての場合よりも2年遅れることとなりましたが、最終的にはドル建ての場合と同程度の水準まで上昇しました(図表3、図表4)。


それに対して、同じ期間に毎月末に5万円ずつ積立投資をしていた場合には、2012年頃までは評価額と投資額累計の差は最終的な評価額は投資額の累計よりも101.5%も増えるという結果となりました(図表5)。

3 ドル建てと円建ての結果の差について
最終的な株価の水準を見ると、ドル建てでは182.6、円建てでは190とそれほどの差はありませんが、積立投資のパフォーマンスを見ると、ドル建てが約70%の増加だったのに対して、円建てでは100%以上の増加となりました。 なぜこれだけの差が生じたのでしょうか。
円建てで見た場合の株価の回復がドル建ての場合よりも遅かった、という事実を別の視点からみると、円建てのほうが米国株を暴落前よりも割安に買える期間が長く続いた、ということになります。 そのため、2012年末頃から為替レートが大きく円安方向に戻ってきた際に評価額が大きく上昇し、結果的にドルの積立投資の場合よりも良いパフォーマンスを示すこととなったのです。 つまり、リーマン・ショック後の円高局面は、日本の投資家にとっては、海外資産に割安に投資をする機会になっていたと考えることができます。
おわりに
今回は、リーマン・ショック前からの積立投資をずっと続けていた場合のパフォーマンスを見ることで、リーマン・ショック後の円高局面は、結果的には日本の投資家が海外資産への投資を安く行う機会となっていたことがわかりました。 この結果は、あくまで2008年からの相場の動きをもとに計算された過去のシミュレーションに過ぎませんが、海外資産への投資を考える際の1つの参考になれば幸いです。
- 図表などにおけるデータの出所および試算の前提
- ・各図表はリフィニティブ(旧トムソン・ロイター)のデータに基づきWealthNaviにて作成。
- ・2008年1月から2016年5月までの各月末のデータを利用。
- ・米国の株価として、S&P500指数(配当込)を2008年1月末を100に調整した値を利用。
- ・税金や手数料などは考慮せず、指数に直接投資できたと仮定して試算。











