2020年4月28日、ウェルスナビは創業5周年を迎えました。2016年7月に正式リリースした、ロボアドバイザー「WealthNavi(ウェルスナビ)」は、働く世代を中心に多くの方にご利用いただき、今年2月には預かり資産2300億円、口座数は28万口座を超えました(※)。
昨年は「老後資金2000万円問題」が話題となり、長期的な資産形成の重要性が再認識されました。また、今年に入ってからは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で相場が大きく動き、資産運用に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
創業5周年を迎えた現在の想いや、これから実現していきたいことについて、ウェルスナビCEOの柴山和久に聞きました。
「長期・積立・分散」で成功体験を
――新型コロナウイルスの感染拡大により、世界の金融市場が混乱する中での創業5周年となりました。
まず、新型コロナウイルスに感染された方々とそのご家族に、心よりお見舞い申し上げます。また、医療や日常生活に必要不可欠なサービスを第一線で支えている方々に深く御礼申し上げます。そして、多くの皆さまが、不自由な日々をお過ごしのこととお察しします。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的にも大きく相場が動いています。このため、不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
こうした状況下でも、豊かな老後に向けた資産運用の大切さは変わりません。
実際、WealthNaviをご利用中のお客様のほとんどが、金融市場の混乱にも関わらず、「長期・積立・分散」の資産運用を継続されています。WealthNaviをご利用されているお客様の数は現在も増え続けています。
創業5周年を迎え、WealthNaviのお客様一人ひとりにとって重要なサービスを担っている責任の重さに、改めて気が引き締まる思いです。
――2020年3月14日には、WealthNaviをご利用中のお客様へ、動画メッセージをお送りしました。
WealthNaviをご利用中のお客様は、大きく相場が変動する状況においても、落ち着いて行動されています。しかし、多くの方々が内心では不安なのではないかと想像し、少しでも安心していただけるように動画メッセージをお届けしました。
こうした混乱期には、基本に立ち返ることが重要です。10年、20年、あるいは30年かけて、中長期的に資産運用するうえでは、「長期・積立・分散」が有効です。
過去を振り返ってみると、1992年からの25年間で5回もの金融危機がありました。その中の1つが、あのリーマン・ショックです。しかし、「長期・積立・分散」による資産運用では、こうした危機をすべて乗り越えて資産を増やすことができました。それは、世界経済が、短期的には危機のダメージを受けながらも、中長期的には成長してきたからです。
私のアメリカ人の義理の両親は、まさにこうした金融危機を乗り越えて、富裕層の仲間入りをしました。特に2008年のリーマン・ショックの時には、資産運用を中断して、預金に資産を移そうとしたものの、資産運用を任せてきた専門家からのアドバイスを受けて思いとどまりました。そして、「長期・積立・分散」による資産運用を続けることができたのです。
その一方で、私自身の両親は、1990年代のバブル崩壊を境に資産運用をやめ、金融資産のほぼすべてが預金でした。その結果、日米の家族の間で10倍もの金融格差が生まれました。
その衝撃がきっかけとなり、5年前にウェルスナビを創業しました。だからこそ、日本でも一人でも多くの方が、「長期・積立・分散」の資産運用を続け、今回のコロナ・ショックを乗り越えることができるよう、全力でサポートしていきたいと考えています。
「長期・積立・分散で危機を乗り越える20万人の成功体験を生み出すこと」を、コロナ・ショックの中での最重要の目標の1つとして掲げています。創業5周年を迎え、今、私たちの真価が問われていると感じています。
“相場の変動を見て、いま特別な行動をとる必要はありません。まずは、ご自身とご家族の健康と安全を守ることを最優先してください。皆さまの豊かな老後のために、私たちは今後も努力し続けます。”
――2019年は資産運用セミナーを通じて、7500人以上のお客様にお会いしました。
セミナーは「長期・積立・分散」の資産運用やWealthNaviの仕組みをお伝えする場である同時に、多くのお客様の声を直接聞くことができる貴重な場でもあります。
これまで、セミナーでお客様の声を直接伺い、新しい機能を追加したり、アプリの使い勝手を改善してきました。そのような機能として、例えば、少額でも適切な資産配分を実現する「ミリトレ」があります。
このように、セミナーは皆さまとのコミュニケーションのための大切な場であり、昨年、回数と開催地を大幅に増やしました。私もセミナー講師として、ほぼ毎月、皆さまの前に立つ機会をいただきました。
現在は新型コロナウイルスの感染防止のため対面のセミナーは休止し、オンラインでのセミナーに切り替えています。4月30日には、第1回のオンラインセミナーを開催しました。
4年前に初めてセミナーを開催した時、参加者はわずか2名でした。当時、知名度もなく、準備も行き届かない中でセミナーに参加して下さった方々のおかげで、今があります。
オンラインでのセミナーは私たちにとっても慣れず、最初は不手際もあるかもしれません。初心に立ち返った思いで改善を重ね、お客様とのコミュニケーションを今まで以上に強化していきたいと考えています。
お客様一人ひとりの目標をサポートしていく
――2019年には「ライフプラン」や「AIによる資産運用アドバイス機能」をリリースしました。今後どう進化していきますか?
スポーツや習い事などでは、目標を立てることが大切ですが、それは資産運用でも同じです。
そもそも豊かな老後に必要な資金は、一人ひとり異なります。何歳まで働きたいかや、老後の生活スタイルは同じではありません。このため、リタイアするまでにどの程度の資産形成を目指すべきか、自分自身にあった目標を立てることが必要なのです。
必要な老後資金を見える化し、目標を立てる。そのために生まれたのが「ライフプラン」機能です。(ご参考:コラム「ライフプランって何ですか?」)
昨年の「老後資金2000万円問題」は、現在の日本でライフプランが必要とされていることを示しました。実際、昨年10月のリリース直後のわずか1週間で1万人以上の方がWealthNaviのアプリでライフプランを設定し、想定を超える反響に驚きました。
また、同じく昨年10月には、AI(人工知能)を活用し始めました。これは、「長期・積立・分散」による資産運用を続けていくうえで必要なアドバイスを、適切なタイミングで提供することを目的としたものです。
同じ年代、年収で、同じ額の資産を運用していても、性格や投資経験などに応じて、必要なアドバイスの内容は異なります。そこで、AIを活用して、まずは一人ひとりの状況をより正確に理解するべく取り組んでいます。
そして、将来的には、一人ひとりのライフプランに沿ったアドバイスを提供したいと考えています。これはまさに、海外の富裕層が受けている資産運用サービスです。
こうしたアドバイスはコストがかさむため、日本はもちろん海外でも、富裕層限定とならざるを得ませんでした。しかし、豊かな老後に向けた資産運用のアドバイスは、誰もが必要とするものです。AIを活用することで、富裕層向けのサービスを民主化したいと考えています。
私たち一人ひとりが、資産運用について悩む必要がなく、本当にやりたいことや、本当に大切なことに、より多くの時間を使うことができる。そんな時代を創っていきます。
「誰でも」利用できる金融インフラを目指す
――創業して5年目となり、「WealthNavi(ウェルスナビ)」の預かり資産は2300億円、口座数は28万口座となりました(※)。
私たちの目標は、誰もが安心して利用できる、いわば社会インフラとしての資産運用サービスを築くことです。そのためのスタート地点として、「預かり資産1兆円」という目標を掲げています。
その背景には先ほど述べた創業の経緯があります。もしも、「長期・積立・分散」による資産運用が、30年前に日本中で当たり前のように利用できていたら、私の両親ははるかに豊かになったことでしょう。日本全体も、もっと豊かになっていたはずです。ですから、全国津々浦々、誰でも安心して利用できる資産運用サービスを築くことを目指しています。
また、テクノロジー企業として、より多くのお客様にご利用いただくほど、一人ひとりのお客様により高品質なサービスを提供できるようになります。「ミリトレ」、ライフプラン機能やAIの活用はその一例であり、今年も大きなサービス改善に向けて取り組んでいます。
誰でも安心して利用できるサービスづくりの一貫として、金融機関や事業会社との提携にも積極的に取り組んでいます。現在、提携サービスは14を数え、預かり資産の約半分を占めています。今後も、「働く世代に豊かさを」というミッションを共有する提携パートナーと協力し、一人でも多くの方に、より良いサービスを届けていきたいと考えています。
――この先の未来で目指していきたいこと、お客様へのメッセージを教えてください。
今は何よりも、新型コロナウイルスから、ご自身やご家族の身を守ることに専念すべき時です。そのためにも、WealthNaviは、皆さま一人ひとりの豊かな老後に向けた資産運用をサポートして参ります。
また、今は、先が見えない、苦しい日々が続きますが、明るい未来像に敢えて目を向けることも大切です。
人類はこれまでいくつもの感染症を克服してきました。また、世界経済は何度も金融危機を乗り越えて成長してきました。私たちが10年、20年あるいは30年かけて資産運用をしていく上では、今回のコロナ・ショックの影響は、後から振り返れば、あくまで一時的なものに留まる可能性が高いでしょう。
さらに、現在、世界中が新型コロナウイルスに立ち向かっており、人類が一つの目標に、智慧や時間、資金を集中させるのは、実に数十年ぶりのことです。医学や教育、働き方などの複数の分野で、大きな飛躍が起こる可能性があります。
その結果、世界の発展が加速してより豊かになると共に、これまで先送りされてきた社会課題のいくつかも解決に向かうと考えています。
私たちが豊かな老後に向けて「長期・積立・分散」の資産運用をすることで、実は、こうした世界の発展に必要不可欠な資金を提供していることになります。
資産運用には当然、リスクがあります。金融市場の混乱によってまさに今、私たちがそのことを実感しています。そして、リスクを取った見返りとして、中長期的には世界経済の成長率を上回るリターンを期待することができます。リスクとリターンは、一つのコインの表裏の関係にあるからです。
自分自身の豊かな老後のための資産運用は、本質的には、世界経済の発展に貢献していることになります。他者に貢献することで豊かさを得る仕組みを、誰でも安心して活用できるようにすることが、私たちウェルスナビが目指している未来像です。それは格差拡大の防止にもつながります。
そのような豊かな未来を目指して、ぜひ、この困難を一緒に乗り切りましょう。皆さまと皆さまのご家族の健康を心からお祈りしています。
※2020年2日13日時点
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