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リスクのかたち①~約束は絶対守られる?~

リスクのかたち①~約束は絶対守られる?~

財布を忘れた友人に「すぐ返すから1000円貸してほしい」と頼まれたとします。この友人には以前にもお金を貸したけれど、いまだに返済してもらっていません。信用できる相手とは言いにくいですが、あなたならどうするでしょうか。

この例は個人間のお金の貸し借りですが、資産運用にも約束通りにお金を支払ってもらえない危険性が存在します。それが今回ご紹介する「信用リスク」です。

債券はお金の借用書のようなもの

投資の世界で「リスク」と言うとき、基本的にはリターンの幅の大きさを指します(※1)。リターンはさまざまな要因によって変動しますが、債券に投資する場合は、その債券を発行する相手の信用度も影響することになります。

信用度とリターンには具体的にどのような関係があるのでしょうか。それを理解するために、まずは債券の大まかな仕組みを見てみましょう。

債券とは、国や企業など(発行体)がお金を借りるために発行する借用書のようなものです。債券を購入した人(投資家)はお金を貸した形となり、対価として定期的に利息を受け取ることができます。

通常、債券には満期があり、期日を迎えると投資家が当初支払った元本は返済されます。

債券投資のイメージ図

債券投資のイメージ図

債券にもお金が返ってこないリスクはある

一般的に債券が「ローリスク資産」とされるのは、信用できる発行体が利子の支払いや借りたお金の返済を約束しているからです。

冒頭に登場した友人とは異なり、国や企業であれば約束を守ってくれる可能性は高いでしょう。それ故、債券はリスクを抑えながら安定したリターンが期待できる金融商品として広く投資されています。

債券のなかでも、日本や米国など先進国の国債は特に信用度が高く、「安全資産」とされます。一方で、新興国の国債や企業が発行する社債のなかには、財政基盤の脆弱さや経営破綻などにより、利払いや元本の返済がされないデフォルト(債務不履行)となったケースも過去に存在します。

一般に、お金を返す力が弱く、信用度が低い企業が社債を発行する(お金を借りる)には、より多くの利子をお金の貸し手に支払う必要があります。このため、そのような社債に投資をすれば、相対的に高いリターンが期待できるかもしれません。しかし、お金が返済されずに大きな損を被ることもあり得ます。

このように、債券にも当初の約束が守られない可能性はあり、それを「信用リスク」と呼びます。発行体が約束を守る可能性が低いほど、信用リスクは高くなります。

債券に投資する際には、このような特性があることを理解しておきましょう(※2)。

この連載では、資産運用には具体的にどのようなリスクがあるのかを解説します。次回のテーマは「為替変動リスク」です。

  • 投資におけるリスクの意味については、以下のコラムが参考になります
    リスクのきほん①~誤解しがちな「リスク」の意味~
  • 株式等への投資でも、発行者の信用状況の変化により信用リスクの影響を受ける可能性があります。また、債券やその発行体の信用リスクを知るうえで、民間格付け会社による「信用格付け」を参考にすることができます
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